成人女性の4〜5人に1人、特に40〜50代の発症が多い下肢静脈瘤。脚の静脈の血管が膨らんだり、浮き出たりする病気です。正しく知らないために、長く悩み続けている人も多くいます。そこで今回は、横浜血管クリニック院長の林 忍(はやし・しのぶ)先生に「下肢静脈瘤」の症状や原因、タイプについてお聞きしました。
症状を知る
□脚がむくんでだるい、重い、疲れやすい
□夜中や朝方にこむら返りが起こる
□足首やふくらはぎ、太ももの内側などの血管が浮き出ている
□ふくらはぎや脚がほてる、熱く感じる
□脚にかゆみや黒ずみ(色素沈着)がある
□クモの巣のような細い血管が浮き出て見える
上の項目に1個でも当てはまれば下肢静脈瘤の疑いがあります
自然には治らない病気
皮膚がボロボロになることも
下肢静脈瘤は脚の静脈の血管がコブのように膨らんだり、浮き出たりする病気です。
成人女性の4~5人に1人が発症するといわれ、40~50代以降の女性に多い病気です。
遺伝、立ち仕事、出産経験、肥満、運動不足が要因の一つといわれています。
身近な病気ですが、正しく知らないために、ずっと悩み続けている人も多くいます。
命に関わる病気ではありませんが、一度発症すると自然に治ることはなく、徐々に症状が進行していきます。
放置しておくと重症化して、皮膚が炎症を起こし硬くなったり、潰瘍ができてボロボロになったりすることもあります。
静脈瘤が軽度であれば、体操など自宅で簡単にできるセルフケアで症状が軽くなることも。
体への負担が少ない最新の治療法もあります。
病気を正しく知って、早めの対策で改善しましょう。
原因を知る
下肢静脈瘤のメカニズム
静脈弁(静脈内にある弁)
筋肉の収縮(筋ポンプ作用)で押し上げられた血液の逆流を防ぐ役割がある
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何らかの原因で弁が壊れる
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血液が逆流して静脈にたまる
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静脈が拡張する
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下肢静脈瘤を引き起こす
タイプを知る
発生場所によって4タイプある
伏在型
脚の付け根や太ももの裏側、ひざから足首の外側などの表在静脈が太くなり、ぼこぼこ浮き出たり、ミミズが這ったように盛り上がる。
側枝型
表在静脈より枝分かれした静脈が拡張して、コブのようになる。
網目状
皮膚の下を通る1~2mmの太さの静脈が、青く網の目状に浮き上がって見える。
クモの巣状
皮膚の表面(表皮)のすぐ下を通る0.1~1mmの極めて細い血管が拡張したもの。盛り上がりが少なく、赤紫色に透けて見える。
※むくみ・だるさなどの症状が現れて進行するのは、「伏在型」と「側枝型」のみ。他の2つのタイプは、症状が出たり重症化することは少ない。
取材・文/古谷玲子 イラスト/山﨑美帆