"病院に行くほどではない"症状のとき頼りたい「かかりつけ薬剤師」

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2016年4月から始まった「かかりつけ薬剤師制度」。この制度が始まったことで、医療や薬剤師のあり方が見直されるようになりました。しかし、2017年9月に発表の健康保険組合連合会の調査によると、「かかりつけ薬剤師」を知っていて利用したことのある人は7.8%、知っているが利用したことはないという人は30%、知らない人は62.3%という結果でした。
そこで、かかりつけ薬剤師として活躍する宮原富士子さんにお話をお伺いしました。


薬の管理や体調の相談もできる健康を守るパートナー

「いま薬を飲むべき?」「この症状は何?」など、専門家に相談したいけれど、病院に行くほどではない。そんなときに頼れるのが、かかりつけ薬剤師です。

「かかりつけ薬剤師の役割は、処方された薬や市販薬、健康食品、サプリメントなどの情報を把握し、服用の際の注意点などをアドバイスすること。服用後は、体調の経過を継続的に確認。必要に応じて医療機関への連絡も行います。また、体調や食事の管理など、健康管理全般の相談にもお答えします。相談は、夜間・休日など、24時間受け付けています」(宮原富士子さん)。

【こんなときは、かかりつけ薬剤師に相談!】

●薬を処方されたとき
複数の医療機関を受診している場合、同じ効能の薬が重複していないか、薬の相互作用が出ていないかなどを確認します。

●急病になったとき
夜間、休日など、通常は薬局が閉まっている時間帯でも、薬や健康などについて
の相談を受け付けています。

●災害が起きたとき
かかりつけ薬剤師に安否確認をお願いしておくことができます。病歴や常用する薬
の情報などを医療機関などに伝えられます。

●入院したとき
常用している薬について、病院の医師や薬剤師と直接連絡を取ることができます。

●在宅医療を受けているとき
医師から処方された薬を自宅へ届ける、自宅での服薬指導、体調の変化がないか確認す
るなど、在宅医療(居宅療養)の支援を実施。

●病院を選ぶとき
症状に応じて、医療機関を受診するべきか、行くならばどこの医療機関を選ぶべきかなどを詳しく相談できます。

●栄養相談したいとき
薬のことだけでなく、食事や栄養についての相談も可能です。

●介護サービスを受けるとき
家族が介護施設に入所したり、介護サービスを受ける際も、介護事業所の紹介を
してもらえます。

◇◇◇
かかりつけ薬剤師をもつには、患者自身が信頼できる薬局で薬剤師を選び、同意書に署名する必要があります。実はこのサービスを提供できるのは、国が定める要件をクリアした薬局・薬剤師のみ。また、患者1人につき契約できるかかりつけ薬剤師は1人のみです。かかりつけ薬剤師が処方薬を渡す場合は「かかりつけ薬剤師指導料」として60〜100円(3割負担の場合)ほどの費用が発生します(処方せんを持参する場合以外の相談は無料です)。

「ロコモ予防のように、年齢に応じて必要な正しい情報を伝えることも大切な役目。身近にそういった存在がいれば、近い将来の自分が変わってくると思いませんか?」(宮原さん)。
医療は自分で選ぶもの、薬は納得して飲むものという意識は、どなたにとっても必要不可欠です。国の制度を知り、信頼できるかかりつけ薬剤師を活用して、健康維持に努めましょう。

 

取材・文/笑(寳田真由美)

"病院に行くほどではない"症状のとき頼りたい「かかりつけ薬剤師」
<教えてくれた人>
宮原富士子(みやはら・ふじこ)さん

かかりつけ薬剤師。
健康サポート薬局ケイ薬局在宅担当薬剤師、NPO法人HAP理事長、日本女性医学学会認定薬剤師。

 
この記事は『毎日が発見』2018年1月号に掲載の情報です。

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