「食べたい」「恋したい」欲望に素直に生きることで免疫機能を向上!/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方

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「すぐにイライラしてしまう」「なんとなくモヤモヤする」...そんな「負の感情」との付き合い方に悩んでいませんか? 
年齢を重ねれば誰もが感情のコントロールが難しくなるもの。「負の感情」をコントロールし、スッキリ生き生きと生きるために、脳科学や心理学の知見によって得られた効果のある実践的な方法を、書籍『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』から学んでいきましょう。

前の記事「老化をスローダウンさせるために。「夢を描く」生き方を/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(28)」はこちら。

禁欲ではなく、欲望に素直に生きる

現代人は兼好法師が『徒然草』に書いたように、欲を持たずに恬淡(てんたん)として生きるというよりも、自分の有り余る欲望とどのように付き合っていけばいいかを考える人が多いかもしれません。

私は、誤解を恐れずにいえば、中高年になっても自分の欲望に正直であればいいと考えます。欲望は生きる上でのエネルギーになるからです。

精神分析学の開祖、フロイトは「性的衝動を発現させるエネルギー」を「リビドー」と呼びました。彼の弟子のユングはリビドーをもっと広く、「(性的なものだけでなく)すべての本能のエネルギーの本体」とか「生命力の源泉」と捉えました。フロイトは、無意識下の欲望や、それを発現させるエネルギーであるリビドーを馬に、理性の中枢領域である自我(エゴ)を騎手にたとえています。

若いうちはよいけれども、馬も年をとってくると動きが悪くなってきます。そこで騎手も一緒に老け込むのではなく、動きの悪くなった馬を上手に扱うことで人馬一体となったよい働きができるというのです。

この騎手の働きをしているのが前頭葉だと考えられます。
エネルギーレベルが落ちていくと、あらゆる欲望は薄れていきます。支配欲や出世欲、性的欲求が減退していき、あきらめもよくなります。しかし、馬の動きが悪くなっても騎手の働きがよければ、人馬一体として考えればよい働きができるのですから、前頭葉も欲望の減退に付き合う必要はありません。

むしろ、「もう年だから」とか、「はしたない」といって自分を過剰に抑え込むよりは、できるだけ欲望を解放することです。以前と比べて衰えた性的欲求をこれ以上抑えつける必要はありませんし、公序良俗に反しない限り、恋愛だって自由に楽しんでいいはずです。

肉類を食べたいならその欲望を抑制することもありません。食べたいものを食べるというのは、一種の快感体験です。快感体験は身体によいし、免疫機能を向上させます。逆に不快体験またはストレスは、免疫機能を低下させることがわかっています。心身の健康のためにも、欲求に過度に歯止めをかける必要はないのです。

 

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和田秀樹(わだ・ひでき) 

1960年、大阪府生まれ。精神科医。1985年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て独立。エグゼクティブ・カウンセリングを主とする「和田秀樹こころと体のクリニック」を設立し、院長に就任。国際医療福祉大学大学院教授、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)、川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(とくに自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。著書に『感情的にならない本』(新講社)ほか多数。

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『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』

(和田秀樹/KADOKAWA)

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この記事は書籍 『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』からの抜粋です

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