放置すると約5年で認知症に! 認知症予備軍の「MCI(軽度認知障害)」は早期の発見と対策が大切です

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今年6月、国立長寿医療研究センターの研究班がまとめた発表によると、認知症の前段階といわれるMCI(軽度認知障害)と判定された高齢者を4年間追跡調査したところ、14%が認知症に進んだ一方、46%は正常範囲まで回復しました。研究班は今後、正常に回復した人の特徴を、詳しく分析していく考えです。

 

MCIの予防には、運動、食事、知的活動が効果的

認知症が起こる過程には前段階とされるMCI(軽度認知障害)という期間があります。MCIとは健康な状態と認知症の中間を差し、日常生活に支障はありませんが、放置すると約5年で半数以上が認知症に進行します。厚生労働省は、認知症及びMCIの人口は862万人と発表しています。これは、65歳以上の4人に1人が該当する数字です。「認知症にはさまざまなタイプがありますが、MCIの段階で治療を開始することで改善したり、長く自立した生活ができるよう進行を遅らせることができます」とは、目白MMクリニック副院長の小野寺加奈先生。

認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症の場合、発症する約20年前から、認知症の原因とされるアミロイドベータペプチドという老廃物が脳内に溜まりはじめ、神経細胞を破壊することで認知機能が少しずつ低下し、発症へとつながります。「多くは、家族による物忘れの指摘がきっかけで受診されますが、MCIの方は物忘れを自覚されて自ら受診することが多いです。最近物忘れが気になるなど不安を感じたら、かかりつけの医師か、物忘れ外来のような専門医に相談してください」(小野寺先生)。

MCIの予防には、運動、食事に加え、本を読む、脳トレのようなゲームをする、他人と関わって社会活動を行うなどの知的活動が効果的です。また、糖尿病や脳卒中、高血圧などの生活習慣病との関係も指摘されています。「薬を常用している方は注意が必要です。睡眠薬や抗不安薬、アレルギー薬などが認知症に似た症状を引き起こすことがあります」(小野寺先生)。

いまの生活習慣を見直して、脳に心地よい刺激を与えることが、MCIや認知症を遠ざける一策となるのです。

【MCIが疑われる症状とは?】
□本人または家族による「もの忘れ」の訴えがある
□年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する(※)
□日常生活能力は自分の手で行える
□全般的な認知機能(思考力や判断力など)は正常
□認知症ではない
□認知機能に影響を与えうるような身体疾患はない

参考:「メイヨー・クリニックのピーターセン博士の診断基準を改変した臨床状実用的な定義」より

※体験したことそのものを忘れる、普段使っている物の名前が出てこないなどの記憶障害

  

小野寺加奈(おのでら・かな)先生
<教えてくれた人>
小野寺加奈(おのでら・かな)先生
目白MMクリニック副院長。日本精神神経学会専門医、日本認知症学会専門医・指導医、認知症かかりつけ医。
この記事は『毎日が発見』2017年9月号に掲載の情報です。

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