
『人は背中から老いていく 丸まった背中の改善が、「動ける体」のはじまり』 (野尻 英俊/アスコム)第4回【全7回】
「最近、疲れやすい」「背中が丸くなってきた」と感じていませんか? 実は、人の老化は「背中」から始まると言われています。丸まった背中(脊柱後弯)は、見た目年齢を上げるだけでなく、転倒や骨折、寝たきりのリスクが高まる傾向にあるのです。書籍『人は背中から老いていく 丸まった背中の改善が、「動ける体」のはじまり』(アスコム)は、整形外科専門医、脊椎脊髄外科専門医、脊椎脊髄外科指導医である野尻英俊先生が、「背中の老いのメカニズム」と対策を医学的アプローチで解説します。今回はこの本の中から、健康寿命を延ばし、いつまでも自分の足で元気に歩き続けるために知っておきたいことをご紹介します!
※本記事は野尻 英俊 (著)による書籍『人は背中から老いていく 丸まった背中の改善が、「動ける体」のはじまり』から一部抜粋・編集しました。
65歳以降の女性に急増する「いつの間にか骨折」とは?
「背中や腰が曲がっているお年寄り、いるよね。おじいちゃんとおばあちゃん、どっちが多い?」
小学生、あるいは幼稚園児に、こんな質問を投げかけてみてください。十中八九、というより、ほぼ100%に近い確率で「おばあちゃん」という答えが返ってくると思います。
質問する相手の世代を変えても、おそらく答えは変わらないでしょう。そういうイメージが完全に定着しているからです。
実際に、男性よりも女性のほうが脊柱後弯を発症しやすいことがわかっています。「背中の老い」の悩みを抱えて私の病院を受診する患者さんも、女性のほうが多いです。
ここでみなさんに再びクイズです。
Q: 女性は男性に比べ、何倍の確率で脊柱後弯(先天性や若年性のものを除く)を発症しやすいでしょうか?
①1・2倍
②1・5倍
③2倍
驚かないでください。答えは③。
なんと、2倍の確率で、女性のほうが脊柱後弯を起こしやすいのです。まさに「断然」「圧倒的」と表現してもいいかもしれません。
このような状況をまねいているのには、明確な理由があります。
背骨の変形は20代から少しずつ始まり、年々進んでいくのですが、女性に限っては50~60代でその傾向が顕著になるのです。
その背景には、閉経に起因する椎体骨折(通称:圧迫骨折)が存在します。
女性が閉経を迎えると卵巣の機能が低下し、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が著しく減少します。エストロゲンの働きはさまざまありますが、そのひとつに「骨密度の維持」があり、エストロゲンの減少にともなって骨がどんどん弱くなってしまうのです。
これが、椎体骨折の発症率を大幅に上げる要因になります。
骨折と聞くと、ほとんどの人は「硬い地面の上で転倒したとき」「スポーツで激しい接触プレーがあったとき」「交通事故で自動車とぶつかったとき」など、体に強い衝撃を受けた際に発生するものという認識をお持ちでしょう。
しかし、高齢になってからの椎体骨折は違います。硬いものに激しくぶつからなくても起こります。日常生活の最中、たとえば物を持ち上げる際や軽い尻もちをついた際に発生するケースが大変多いです。骨粗しょう症が引き金となって圧迫骨折に至った際は、痛みを生じないケースが非常に多いのです。
知らず知らずのうちに、気づいたら骨折していた―それが椎体骨折なのです。
だから整形外科医はこれを、「いつの間にか骨折」と呼んでいます。








