便秘の理由は、腸の形を知ることで分かる。簡単にチェックできる方法を便秘外来医が解説

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『快腸大全 便秘外来医が3万人を診てわかった腸の新常識』 (水上 健/KADOKAWA)第3回【全8回】

テレビや雑誌などに多数出演する便秘・IBS(過敏性腸症候群)分野の第一人者・水上 健医師によれば、最近はリタイヤ後に便秘になる男性が増えているそうです。そうした患者の中には、下剤を服用しすぎたことで腸がダメージを受けたり、腸内環境や食事にこだわりすぎて便秘対策に疲れ果てている方も多いのだとか。先生が便秘外来で多くの患者の診療にあたることで分かった真実と、最新データに基づく正しい知識をまとめたのが書籍『快腸大全 便秘外来医が3万人を診てわかった腸の新常識』(KADOKAWA)です。今回はこの本の中から、30年来の便秘が治ったという報告もあったという「腸ゆらしマッサージ」についてご紹介します。

※本記事は水上 健著の書籍「快腸大全 便秘外来医が3万人を診てわかった腸の新常識」から一部抜粋・編集しました。

チェックテストで腸の形を探ってみよう

ここまでお読みいただき、自分の腸はねじれ腸なのか、落下腸なのか? とても気になるところだと思います。腸の形はレントゲンを撮らない限り確認することはむずかしいところですが、簡単にチェックする方法があります。

次のA、B、2つのテストのうち当てはまるものをチェックしてみましょう。


テストA

チェック1:子供の頃から便秘だった
チェック2:腹痛をともなう便秘になったことがある
チェック3:便秘の後、下痢や軟便が出たことがある
チェック4:運動量が減った途端、便秘になったことがある

テストB

チェック5:運動をしても便秘が改善しない
チェック6:あおむけ時と比べ、立ち上がると下腹がぽっこり出る


いかがだったでしょうか。

〈診断結果〉

テストAのうち2つ以上当てはまる→ねじれ腸
テストAのうち2つ以上、テストBのうち1つ以上当てはまる→落下腸

もしこの診断結果に当てはまるようだったら、それぞれねじれ腸、落下腸の可能性があります。それでは一つずつ解説していきましょう。

1.子供の頃から便秘だった

腸の形はお母さんのお腹の中にいるときに決まります。下行結腸やS状結腸がねじれている、もしくはねじれやすいというのは腸の形の特徴で先天的なものです。

子供は大人より運動量が多いですが、そのときから便秘の人は先天的な腸のねじれで便が出にくいことが便秘の原因と考えられるのです(ここでいう子供とは小学生以降のこと。それ以前の便秘はお尻の便秘です)。

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2.腹痛をともなう便秘になったことがある

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排便にともなう腹痛は、腸が動いて便を出そうとしているけれど、便が出ないために腸の内圧が上がって起きます。いちばん多いのは、腸のねじれに便が引っかかって出ていかないことで、痛みは腸のねじれ近くや上流に感じます。

3.便秘の後、下痢や軟便が出たことがある

「便秘と下痢を繰り返す」というのは過敏性腸症候群(IBS)でよく聞くキーワードです。過敏性腸症候群の典型的な症状ですが、じつはこのタイプの便秘と下痢を繰り返す人のほとんどはねじれ腸です。腸がねじれたところに固い便が引っかかり、腹痛をともなう便秘になります。するとねじれの上流には便がたまっていき、腸は「腸が詰まってしまうと命の危険がある」と判断して上流の便をゆるくします。

このメカニズムは腸捻転のときや大腸がんで腸閉塞になったときによく見られます。腸捻転や大腸がんで腸閉塞になったときの上流の腸の中には下痢便が詰まっています。

これは腸が詰まりそうになると便をゆるくして詰まらないようにするという人間の体の防御反応なのです。

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4.運動量が減った途端、便秘になったことがある

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便は腸というチューブの中を通って送られていきます。ボールをチューブの中に通す場面を想像していただきたいのですが、ボールがチューブのねじれや曲がりに引っかかったとき、ゆらしたり、トントンたたいたりすれば出てきやすくなるでしょう。

腸でも同じことです。運動で常にゆらされていれば腸のねじれや折れ曲がりが緩和され、便が引っかかりにくくなるようなのです。

運動不足になれば、ねじれや折れ曲がりで便が引っかかって便秘になりやすくなります。運動不足での便秘、それはねじれ腸が強く疑われるのです。

近年増えている60代前後で便秘になる男性も、運動不足がおもな原因のようです。ねじれ腸ではあったものの、働いているうちはそれなりに体を動かしますから便秘にはなりません。それが退職後に極端に運動量が少なくなることで、便秘になるようなのです。

5.運動をしても便秘が改善しない

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落下腸の場合、腸が骨盤内部にまで入り込んでいるので多少の運動では便秘改善につながりません。よく運動しているのに便秘が改善されないなら、落下腸の可能性を疑ってみましょう。

6.あおむけ時と比べ、立ち上がると下腹がぽっこり出る

立ち上がったときだけおへそ下の下腹部が出っ張るのは、重力で腸が落ちてしまう落下腸ならではの特徴です。

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※本記事は水上 健著の書籍「快腸大全 便秘外来医が3万人を診てわかった腸の新常識」から一部抜粋・編集しました。
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