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健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
薬の副作用で毎年10万人が死亡!?
慢性疾患の場合、ときには対症療法が有効となるケースもありますが、それだけでは根本的な治療法とはなりえません。やはり、自己治癒力を高めることが必要です。
たとえば、糖尿病治療薬のα-グルコシダーゼ阻害薬とスルホニル尿素剤(SU剤)は、この2つで全処方の85%を占めていますが、いずれも対症療法として血糖値を下げるだけで、根治させる薬ではありません。
世界で最も薬が多いと言われている日本では、現在、約1万5000種の薬が流通しているとされています。しかし、これほど膨大な薬剤のなかで、自己治癒力を高めることが証明された薬剤はありませんし、副作用がない薬もありません。
薬を用いる場合とは、症状に耐えられず、リスクを勘案してもメリットが大きい場合か、この薬でないと命を救えないという場合の、2つに限られると思います。
短期であっても意味なく薬を用いたり、長期にわたって用いたりするのは、避けなければなりません。なぜなら、薬剤には潜在的に自己治癒力を損なう作用があるからです。
我慢のできない苦痛もなく、ましては命にかかわる危険もない状況下で、自己治癒力を損なうおそれのある薬をのむ意味はないのです。
カナダのトロント大学の研究者がアメリカ医師会雑誌(1998年10月)に発表したあるデータによれば、1994年にアメリカで出された処方箋の数はおよそ30億件、そのうち副作用で入院となったのが200万人、そのなかで10万人が副作用で死亡。そして副作用のために余計にかかった医療費が日本円で8兆4000億円です。このデータに、医療関係者は大きな衝撃を受けました。
10万人という値は、死因の順位で言えば、心臓病、がん、脳卒中に次いで、第4位という数字です。対症的に用いるだけで、あまりのむ必要のない薬をのんだばっかりに、思いがけなく死んでしまうなど、理不尽な話だと思いませんか?
それが薬剤の真の姿なのです。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
「カラー版 図解 9割の病気は自分で治せる」
(岡本 裕/KADOKAWA)
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