危険です!薬の飲み過ぎ。6種類以上の服薬で10〜15%に有害作用が

厚生労働省は、2018年3月「高齢者が医薬品の多剤服用から健康被害を受ける問題がある」として、減薬を念頭に医薬品の処方を見直すよう医療機関などに求める方針を決定しました。同省は指針について、2018年度中に正式決定したい考えとの発表を行っています。

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多過ぎる薬が招く有害作用。内服薬剤は5種までが理想

「多剤服用」は、必要以上の薬が投与されている状態で、6種類以上の薬を内服していることが目安です。厚生労働省の調査では、75歳以上の25%が調剤薬局1カ所当たり7種類以上の薬を処方されているという結果も。

「高齢の方ほど複数の病気を持つことが多く、それに伴い薬の数も増えていきます。いつの間にか多剤服用になっていて、同じ薬効の薬を複数飲んでいたり、症状が改善しているのに服薬し続けていたりすることも。また、飲み合わせの悪さから有害作用を起こすことも少なくありません」と、薬剤師の大谷一貴さん。

薬が6種類以上になると、有害作用を起こす割合は10~15%まで高まります。高齢者に多いのは「眠気」「ふらつき」「物忘れ」「排尿障害」「うつ」「せん妄(もう・幻覚)」「食欲低下」「低血糖」など。特に「眠気」や「ふらつき」は転倒にもつながりやすく、骨折して寝たきりになる可能性も。では、多剤服用はどう防げばよいのでしょう?

「まず多過ぎる薬は減らすこと。そのためには、むやみに薬を欲しがらないようにしましょう。また、調剤薬局ごとにお薬手帳を分けている方がいますが、お薬手帳は患者さんが何の薬を服用しているか、薬剤師が知る手がかりです。必ず1冊にまとめましょう。そして、受診の際は服用中の市販薬やサプリメント、漢方薬などについても医師に伝えてください。単体では体に良くても、飲み合わせによって支障が出る場合があります。万が一伝えそびれたら、薬剤師にご相談ください」(大谷さん)。

薬の量を減らすことは大切ですが、自己判断で服薬をやめるのは禁物です。「薬が多いな」
と感じる方は、まずは医師や薬剤師に相談してみましょう。

 

多剤服用(ポリファーマシー)とは
● 6種類以上の薬を内服している状態
● 多くの薬を服用することにより 副作用などを起こすこと

多剤服用が続くとこんな問題が起こります!
● 眠気やふらつきが増えて転倒しやすくなる
● 肝機能や腎機能が低下する
● せん妄(幻覚)の発生率が上昇
● 認知機能障害が進みやすくなる
● 低血糖になりやすくなる

 

取材・文/笑(寳田真由美)

 

 

<教えてくれた人>
大谷一貴(おおや・かずき)さん

平成医療福祉グループ、世田谷記念病院 薬剤部係長。

この記事は『毎日が発見』2019年1月号に掲載の情報です。

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