「トクホ」という言葉は、テレビCMなどで目にする機会も多くなりました。しかし、トクホについて、実はよくわかってない方も多いのではないでしょうか。
昨年12月12日、消費者庁は、トクホとして新たに8つの新商品を許可したことを発表しました。サントリーの「特茶」「ホット特茶」、モンデリーズジャパンの「リカルデントホワイトピーチミントガム」、フジッコ「黒豆茶<缶>」などです。
サントリー「特茶」
同じような普通の商品よりも、ちょっとお値段お高めの「トクホ」は、正式名称を「特定保健用食品」と言います。体の機能に影響を与える保健機能成分を含み、特定の健康効果が認められる食品に表示できるものとして、消費者庁が管理する制度なのです。
トクホはもともと、健康を促進するために、それに役立つ食品を選びやすくする制度として導入されました。そのため、どんな食品でも表示できるわけではなく、消費者庁が有用性や安全性、成分などを医学的・栄養学の見地から厳しく審査します。これに合格した商品だけが、「トクホ」を名乗れるのです。
モンデリーズジャパン「リカルデントホワイトピーチミントガム」
トクホの種類と機能性表示食品
トクホは、その審査方法や成分によって、以下の4種類に分かれています。
・個別許可型
商品のデータを個別に提出し、有効性や安全性を審査するタイプです。もっとも基準が厳しいため、有効性も高いレベルが証明されます。その反面、審査に時間と費用がかかり、商品化までさらに長い時間がかかってしまうデメリットがあります。
・規格基準型
すでに有効性が認められた成分を使っているため、審査を省略できるタイプの食品です。「すでにトクホとして100件以上が許可された成分である」こと。「最初の許可から6年が経過し、その間に健康被害が出ていない」こと。「複数の企業によって許可が取得されている」ことが、規格基準型の条件となります。
・疾病リスク低減表示
関与する成分に疾病リスク低減、または特定の病気を改善すると医学的・栄養学的に認められる場合に、トクホ表示可能になる審査方法です。現在、カルシウムと葉酸のみ、こちらの表示が認められています。
・条件付き特定保健用食品
上記のような有効性や安全性を科学的に証明しきれないものの、一定の有効性が認められる食品に対してトクホ表示を可能にする審査方法です。ただし、「本品は○○を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、△△に適している可能性がある食品です。」といった表示をしなければなりません。
トクホと似た食品の表示制度に、「機能性表示食品」があります。トクホは消費者庁が審査・許可したものにのみ与えられる表示の制度に対し、機能性表示食品は製造する企業側が科学的根拠を示し、消費者庁に届け出ることで表示可能になる制度です。消費者庁が審査したものではないものの、各事業者が責任を持ち、商品を選びやすくする制度として導入されました。
トクホの効果は?採り方の注意点も
トクホの食品として表示が認められている効果と成分には、例として以下のようなものがあります。
・お腹の調子を整える(オリゴ糖、食物繊維など)
・食後の血糖値の上昇を緩やかにする(難消化性デキストリンなど)
・血圧が高めの方向け(ゴマペプチド、ラクトトリペプチドなど)
・歯を丈夫で健康に保つ(キシリトールなど)
トクホは、「健康に良い影響がある」と認められた食品ですが、たくさん食べればいいというわけではありません。効果を過度に期待して食べ過ぎると、逆に健康被害が起こる可能性もあります。トクホは医薬品ではないので、何かの病気を治療中の方は主治医に相談したうえで、上手にトクホを利用していきましょう。
文/鈴木祐希子