「運転時認知障害」を早期発見!チェックリスト30/介護破産(38)

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介護のために資産を失う「介護破産」が最近話題となっています。実は介護破産の原因には、単に資産の多寡だけでなく、介護に関する「情報量」も大きく関わってくるのです。
本書「介護破産」で、介護で将来破綻するような悲劇を防ぐための方法を学んでいきましょう。

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前の記事「80代後半の父親の車は傷だらけ。ある日車で出かけて行方不明に.../介護破産(37)」はこちら。

今回取り上げた「街ぐるみ認知症相談センター」のように、悩みを抱えている人を医療機関や行政につなぐ場所がもっと増えると、男性のように認知症になっても安定した生活ができる。しかし、異変に気づいたとしても、まず何から行動を起こしていいのかわからないという家族が多いのが現状だ。

NPO法人高齢者安全運転支援研究会(東京都千代田区)では、認知症になる手前の軽度認知障害(MCI)が運転におよぼす影響を「運転時認知障害」と命名した。
この法人では、鳥取大学医学部浦上克哉教授の指導のもとで、認知機能の低下が運転の一連の流れにどう影響するのか具体的に調べている。

それによると、認知症の疑いがある人は、曲がるときに小回りになり縁石に乗り上げたり、ウィンカーを使わないなどの傾向があった。こうした特性に早く気づけば、狭い道や夜間の運転を控えるなどして、事故を予防できる。「運転時認知障害早期発見チェックリスト30」を使うと、自分自身でも判断できるので、気になる方は試してもらいたい。

  

運転時認知障害早期発見チェックリスト30

□ 車のキーや免許証などを探し回ることがある。
□ 今までできていたカーステレオやカーナビの操作ができなくなった。
□ トリップメーターの戻し方や時計の合わせ方がわからなくなった。
□ 機器や装置(アクセル、ブレーキ、ウィンカーなど)の名前を思い出せないことがある。
□ 道路標識の意味が思い出せないことがある。
□ スーパーなどの駐車場で自分の車を停めた位置が分からなくなることがある。
□ 何度も行っている場所への道順がすぐに思い出せないことがある。
□ 運転している途中で行き先を忘れてしまったことがある。
□ 良く通る道なのに曲がる場所を間違えることがある。
□ 車で出かけたのに他の交通手段で帰ってきたことがある。
□ 運転中にバックミラー(ルーム、サイド)をあまり見なくなった。
□ アクセルとブレーキを間違えることがある。
□ 曲がる際にウィンカーを出し忘れることがある。
□ 反対車線を走ってしまった(走りそうになった)。
□ 右折時に対向車の速度と距離の感覚がつかみにくくなった。
□ 気がつくと自分が先頭を走っていて、後ろに車列が連なっていることがよくある。
□ 車間距離を一定に保つことが苦手になった。
□ 高速道路を利用することが怖く(苦手に)なった。
□ 合流が怖く(苦手に)なった。
□ 車庫入れで壁やフェンスに車体をこすることが増えた。
□ 駐車場所のラインや、枠内に合わせて車を停めることが難しくなった。
□ 日時を間違えて目的地に行くことが多くなった。
□ 急発進や急ブレーキ、急ハンドルなど、運転が荒くなった(と言われるようになった)。
□ 交差点での右左折時に歩行者や自転車が急に現れて驚くことが多くなった。
□ 運転している時にミスをしたり危険な目にあったりすると頭の中が真っ白になる。
□ 好きだったドライブに行く回数が減った。
□ 同乗者と会話しながらの運転がしづらくなった。
□ 以前ほど車の汚れが気にならず、あまり洗車をしなくなった。
□ 運転自体に興味がなくなった。
□ 運転すると妙に疲れるようになった。

30問のうち5問以上にチェックが入った方は要注意です。
認知症予防を心がけていただくとともに、毎年1度はご自身でチェックを行い、項目が増
えるようなことがあれば専門医や専門機関の受診を検討しましょう。


※『介護破産』の続きの記事は書籍にてお楽しみください。

関連記事:「免許返納の手続きってどう進めるの? 気になる特典内容は? 免許返納後の車はどうする?」

結城 康博(ゆうき・やすひろ)
淑徳大学総合福祉学部教授。1969年生まれ。社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャー。地域包括支援センターおよび民間居宅介護支援事業所への勤務経験がある。おもな著書に『在宅介護――「自分で選ぶ」視点から 』(岩波新書)、『孤独死のリアル』(講談社現代新書)、『介護入門 親の老後にいくらかかるか? 』(ちくま新書)など。

村田くみ(むらた・くみ)
ジャーナリスト。1969年生まれ。会社員を経て1995年毎日新聞社入社。「サンデー毎日」編集部所属。2011年よりフリーに。2016年1月一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)のアドバイザーに就任。おもな著書に『書き込み式! 親の入院・介護・亡くなった時に備えておく情報ノート』(翔泳社)、『おひとりさま介護』(河出書房新社)など。

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『介護破産』
(結城 康博、村田 くみ/ KADOKAWA)

長寿は「悪夢」なのか!? 介護によって始まる老後貧困の衝撃!
介護のために資産を失う「介護破産」が最近話題となっています。本書では現在介護生活を送っている人々の生の声をルポしつつ、介護をするにあたり知っておきたいお金のこと、法律面のことなどに言及。介護で将来破綻するような悲劇を防ぐための方法論を記した一冊です。

 

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