「トレンド」を長い目で読めれば大きな儲けを生み出せる/お金の教養

「トレンド」を長い目で読めれば大きな儲けを生み出せる/お金の教養 pixta_8684204_S.jpg長く続いたデフレのトンネルから脱しようとする日本。しかし、世の中的に景気がよくても、それを実感できていない人は多いのではないでしょうか? 老後破産や格差社会の不安が広がる昨今、自分を守るために必要なのが「お金の教養」です。

本書『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』で、株高時代を逃さず、チャンスをつかむ方法を学びましょう!

◇◇◇

前の記事「景気サイクルから予測。2019年半ばに株価の"天井"がやってくる!/お金の教養(7)」はこちら。

 

急落しても慌てない!

さて、ここまでの波をグラフ化してみましょう。第一波、第二波と、天井が後ほど上がっています。このような、前の高値を上回る高値のことを「新高値」と呼びます。新高値が出るのは、短期サイクルを包括する長期のサイクルが上昇トレンドにある証拠です。消費税だ、EU離脱だ、大暴落でまたまた不況だ――と、ことあるごとに市場は大騒ぎしますが、長期サイクルで見れば心配無用。2012年 11 月から 20 年間にわたって、日本が長い上昇の波に乗っていることに変わりはないのです。

「トレンド」を長い目で読めれば大きな儲けを生み出せる/お金の教養 gazou1_P65.jpg

 

――といった先から水を差すようで恐縮ですが、上昇トレンドが終わる可能性もゼロではありません。注目ポイントのひとつは第一波の天井、15 年6月の2万900円です。次の波の底値がこれを下回ると、株価の上昇は止まります。少なくともしばらくは調整局面が続きます。2万円を下回る展開も予想されます。

しかし、それで上昇トレンドが終わったとはいえないのです。いずれ底入れし、次の上昇波動がやってくるはずです。ただしそれには安倍政権が続き、アベノミクス・脱デフレ・第4次産業革命という国策が前進することが前提になりますので、国内情勢への注視は必要です。逆にいうと、その値を割らなければ、さらに新高値が出るということです。

ちなみに下降トレンドを読むポイントはこの逆。前の波の底値に次の天井が至らなければ、さらに下降が続きます。失われた 20 年においては、何度もこの波形が描かれました。

下降なら、前の相場の「谷」で上げ止まる。
上昇なら、前の相場の「山」で下げ止まる。
予測の際の、きわめて有力なシグナルです。

次の山は 19 年半ばの2万7000円、という予測を先ほど述べました。これを達成した後、前の山である2万3000円を下回らなければ、さらに次の上昇の波が来ます。オリンピックに向けた盛り上がりを追い風に、1989年 12 月末の最高値、3万8915円をつけることすら、夢ではありません。

 

2018年2月の株価暴落はなぜ起こったか

長いサイクルで上昇トレンドにあることがわかっていれば、目先の上下に一喜一憂する必要はありません。今年2月6日に起こった株価暴落も然り。この日、日経平均株価は1600円も落ちて2万1740円になりましたが、これも大騒ぎするには及びません。引き金となったアメリカのダウ平均株価の暴落も、1500ドル以上の下げ幅が「リーマン以上」「史上最大」と騒がれましたが、その後は一応の落ち着きを見せています。

この出来事は「好景気終焉を告げる大事件」などではなく、株価の過熱を警戒した投資家たちが売りに転じることで株価が落ちる一時的な現象です。このような現象のことを「調整」といいます。

直接のきっかけは、アメリカの長期金利が2.88 %をつけたことでした。ウォール街では、金利が2.65 %を超えれば「適温相場」が崩れるという見方をしています。ゴールドマンサックスやモルガンスタンレー等のアナリストは、2.75 %を超えれば過熱、と規定しています。2月当時の金利は、それらを軽々と突破していたのです。

2016年 11 月のトランプ大統領誕生以降、ダウ平均も急上昇していました。2017年の年間上昇率は 38 %。これまた熱しすぎの数字です。相場の世界では、「 30 %」を一つの目安とします。これは古今東西の共通認識。我が国でも「3割高下に向かえ」という言葉があります。「3割上がったら売るべし、3割下がったら買うべし」という意味で、江戸時代中期から使われている格言です。

過熱への警戒感が沸点に達すると、投資家は売りに転じます。今回は株価上昇率 38 %、長期金利2.88 %になるまで落ちなかったのですから、かなり「粘った」ことになります。しかしそのぶん、調整も激しくなったというわけです。

 

次の記事「株価の変動を読むために身につけたい「織り込み」を読む力とは?/「お金の教養」(9)」はこちら。

菅下清廣(すがした・きよひろ)

スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント。投資家。学校法人立命館 顧問。メリルリンチをはじめとする名門金融機関で活躍後、現職。
変化の激しい時代に次々予想を的中させることから「経済の千里眼」の異名をもち、政財界にも多くの信奉者をもつ。『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』(PHPビジネス新書)、『マネーバブルで勝負する「10倍株」の見つけ方〔2018年上半期版〕』(実務教育出版)など著書多数。

「トレンド」を長い目で読めれば大きな儲けを生み出せる/お金の教養 syoei.jpg
『知らないと損をする!株高時代の「お金の教養」』
(菅下清廣/KADOKAWA)

高齢化社会の中で「老後破産」や「格差社会」に直面している現代日本。現時点での「株高」を生かした収入アップ術を、投資初心者にもわかりやすく解説! お金に対する不安を取り除き、この先の日本で生き抜くための、お金に対する正しい知識が得られる一冊です。

 
この記事は書籍『知らないと損をする!株高時代の「お金の教養」』からの抜粋です
PAGE TOP