アートで五感を刺激し楽しく介護予防を
できるだけ長く元気を維持し、介護されることなく過ごしていきたい。これは、多くの人の共通の願いです。そのために、何をしていますか? 運動、脳トレなどさまざまな答えがあると思います。そんな答えに「アート」を加えてみませんか。
訪ねたのは、都内にある「芸術造形研究所」。ここでは医師、芸術家、ファミリーケア・アドバイザーがチームとなって実践研究された「臨床美術」の講座が開かれています。臨床美術士のサポートの下、絵やオブジェの創作を通して認知症の予防や改善を目指すものです。
「創作過程で大切にしているのは、五感で感じることです。上手、下手は関係なく、創作過程を重視し、集中する時間を楽しんでもらっています」と芸術造形研究所の藤木晃宏さん。
臨床美術を取り入れてリンゴを描いてみましょう
「臨床美術は、対象物へのアプローチを重視し、テーマごとにアートプログラムが決められています。例えば絵を描くのでもリンゴとネギでは別々のアートプログラムがあり、それが脳の活性化を促していると考えられています」と藤木さん。
初めての人は、例えば「リンゴ」のような身近にある食べ物を描いてみるとよいそうです。
描くときは次の3つを心がけましょう。それらが脳を刺激し、想像力をかき立ててくれるのです。リンゴを表面的に見ただけとは異なる、色の選び方や描き方になるはずです。バナナ、キャベツ...身近なものでぜひ、試してみてください。
◆脳を活発にする絵心3カ条
(1)五感を使って観察をする。
見て触るだけでなく、転がして動きを見たり、切って中の色や質感を観察したり、食べたり。自分が小さくなってリンゴの上を歩くことを想像してリンゴの丸みを感じたり。赤以外にもさまざまな色でリンゴができていることや、曲線の個性などに気付くことができます。
(2)モチーフにまつわる話をする。
リンゴってどんな食べ物?リンゴにまつわる思い出話は?などリンゴに関する話をしましょう。
(3)観察して実感したことを描く。
(1)(2)で感じたことをイメージしながら絵を描いてみてください。
取材・文/岸上佳緒里