自分磨き、自己投資・・・そろそろやめてもいいんじゃない?/一生お金に困らない(9)

将来の不安を感じさせる「お金」の問題。そんなお金に人生を振り回されないためには、「知恵が必要」だと経済コラムニストの大江英樹さんはいいます。そこで、大手証券会社で長年にわたり個人の資産運用業務に携わってきた大江さんの著書『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごしかた』(すばる舎)から、将来の不安をなくせるお金に関する知恵と備えるべき年代別ポイントを連載形式でお届けします。

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自己投資にお金をかけすぎてはいけない

若いうちは自己投資をやりなさい、ということをよく言われます。

このこと自体、別に間違っているわけではありません。

不確実な未来に備えるためにはどんな世の中になっても、あるいは、どんな状況に置かれても自分自身の力で稼げることが一番大事で、自分自身に実力を付けることはとても大切だからです。

ただ、実力を付けるためにやたら本を読んだり、セミナーに出たりしても実はあまり効果はないのです。

ところが、中には自己投資や自己啓発にお金をかけ過ぎる人がいます。

とにかく何でも資格を取りたがる、自己啓発本を読みあさり、自己啓発セミナーや営業セミナーにも頻繁に出かけて行く、といった人達です。

こういう人達は恐らく「自分は将来のために自己投資をやっている」というつもりなのでしょうが、私自身の経験から言えば、人から教えてもらう自己啓発は役に立たないし、明確な目的を持って取得する資格以外は、あまり意味がないと言って良いでしょう。

自分自身のスキルアップや営業力の向上というのは、自分が血反吐を吐いても這いずり回って自分の体験で身に付けるしかない、というのが40年間、営業の第一線でやってきた私の実感です。

ところが、自己啓発が好きな人はたくさんいるようで、書籍もそういう類いのものはよく売れていますし、セミナーも繁盛しています。

したがってそれを商売にする人達もたくさんいて、びっくりするような高額のセミナーも開催されていますし、行った人に話を聞いてみると、結構たくさんの人が参加しているようです。

もちろん自分のお金で何をしようが一向にかまいませんが、私は自己投資にお金をかけるよりも、人にもっとお金をかけるべきだと思っています。

人にお金をかけるとは?

「人にお金をかける」というのは一体どういうことなのでしょう。

それは別に他人におごってあげなさいということではありません。

もちろんそういうことがあっても良いのですが、もっと大切なことは「人に対して何か役に立つことをしてあげる」、その結果「その人とのつながりを強くする」ということです。

人のために無償で何かをしてあげるのであれば、当然コストはかかりますし、それは自分で負担をしなければなりません。

それが「人にお金をかける」ということなのです。

その理由は一体どうしてなのでしょう。

ことわざに「情けは人のためならず」というのがあります。

これは「人に情けをかけるとその人のためにならない」と解釈している人もいるようですが、正しくは、みなさんもご存じのように「人のために何かをしてあげると、それはいつか必ず自分にプラスになって戻ってくる」という意味です。

この考えかたを精神論で語るのではなく、プラグマティック(実際的)に語ったのが「人にお金をかける」ということなのです。

対価をもらうことなく、人に何かをしてあげるということは貴重な自分の時間を無償で提供することになりますから、「お金をかける」ことに他なりません。

ここで言う「何かをしてあげる」のは別に労働ということだけではなく、「役に立つことを教えてあげる」、「誰か必要な人を紹介してあげる」、「相手が知らない情報を知らせてあげる」等々、日常生活の中ではいくらでもあります。

そういうことを普段の生活の中でこまめにやっていくことのほうが、自己投資に時間やお金をかけるよりも将来、ずっと役に立ちます。

お金を稼ぐということは、すべからく人との関係においてしか成り立ち得ません。

自己投資や自己啓発によって「自分はこんなにできる人間になったのだ!」と言っても、それに対して他人がお金を払ってくれないことには意味がないからです。

単なる自己満足で終わってしまいます。

常に他人が求めていることは何か?それに対して自分として何かできることはないか?ということを考え、実行し続けることが大切なのです。

私は60歳を過ぎて起業しましたが、定年起業に関する本も書いています。

その中で私は「定年起業で一番大切なことはギブ&テイクではなく、ギブファーストを貫くことだ」と主張しています。

そう、ギブファーストとは、まさに人にお金をかけることなのです。

自己投資ということで言えば、資格取得も自己投資の一つですが、資格というものは取っただけでは何の意味もありません。

稼ぐために必要なのは「資格」ではなくて「顧客」だからです。

自己啓発や資格取得で「自分にはこんなことができる」と思っているだけでは全く意味がありません。

そんな資格などなくても、人に対して何かしてあげることで「あの人はこんなことができる」「あの人に頼めば、こういうことで役に立つ」と思われること、信頼されることが一番大切なのです。

【最初から読む】保険に入りすぎてはいけない理由

【まとめ読み】「一生お金で困らない」記事リスト

165-c.jpg前半3章でお金に対する考え方や知識を、後半3章で実際のお金をどう扱うかの具体的な年代別戦略モデルを資産運用のプロが徹底解説しています

 

大江英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表。CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャルプラニング技能士。大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金法が施行される前から確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。主な著書に『投資賢者の心理学』(日本経済新聞出版)『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などある。

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『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごしかた』

(大江英樹/すばる舎)

お金の持つ本質的な意味と、働き始めてから定年後までの年代別対策法など、「一生もののお金の知識」が身に付く一冊。公的年金と社会保険の真実や、今の生活、老後に必要な具体的な金額もわかります! お金の大原則を知ることができれば、将来の不安は解消されるはずです。

※この記事は『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごし方』(大江英樹/すばる舎)からの抜粋です。

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