電気代が高騰...節約の大きな手段に!? 森永卓郎さんが考える「太陽光発電」の可能性

定期誌『毎日が発見』の森永卓郎さんの人気連載「人生を楽しむ経済学」。今回は、「太陽光発電」についてお聞きしました。

電気代が高騰...節約の大きな手段に!? 森永卓郎さんが考える「太陽光発電」の可能性 pixta_86842286_S.jpg

電気代を年間約9万2千円節約できる

電気料金が値上がりを続けています。

東京電力の7月の標準家庭の電気料金は、11カ月連続で値上がりして、8871円となりました。

昨年1月には6317円でしたから、大変な値上がりです。

このままだと1万円を突破するかもしれません。

値上がりの原因は、原油や天然ガスなどの燃料価格が高騰していることに加えて、円安の進行で発電コストが上昇していることです。

また、太陽光発電などの再生可能エネルギーを固定価格で買い取るための「再生可能エネルギー発電促進賦課金」も電気料金を押し上げています。

電気は、現代社会の必需品ですから、値上がりは即座に家計を圧迫します。

値上がりに対して即効性のある対策は、節電です。

電気をこまめに消すとかエアコンのフィルターを掃除する、コンセントを抜いて待機電力を減らすといったことです。

外が見えにくくなるので、全員におすすめはできないのですが、私は断熱性を高めるために窓にエアクッション(梱包用の緩衝材)を貼り付けています。

きれいに貼れば、窓の開閉はできます。

また、古いエアコンや冷蔵庫を使っている人は、省エネ性能の高い最新機種に買い替えることでも、節電が可能です。

ただ、そうした対策には限界があります。

そこで考えてみたいのが、太陽光発電です。

東京都の小池都知事は、年間2万平米以上の住宅やビルを建築する大手事業者に対して、新築物件への太陽光発電設置を義務付ける方針を明らかにしています。

このことによって新築住宅の50%程度が義務化の対象になります。

小池知事は、太陽光発電は、環境対策だけでなく、電気代の節約にもつながるとしています。

標準的な戸建て住宅に4キロワットの設備を設置した場合、年間9万2400円の電気代の節約になります。

一方、設置費用は92万円程度なので、10年間で元が取れるというのです。

東京都の補助金を活用すると、40万円の補助金が得られるので、6年で元が取れるとしています。

一方、国土交通省が示しているモデルでは、設置費用を東京都より3割高くみていることもあって、投資の回収には15年が必要という結果になっています。

ただし、設置費用の補助金は計算に入っていません。

現在、太陽光発電設置に対する国の補助金支給は終了しており、自治体独自のものだけが残っています。

ただ、太陽光発電を備えたゼロエネルギー住宅への補助金は国レベルでも残っており、住宅ローン減税の拡充など様々なメリットがあります。

補助金のことを考えなくても、10年から15年の期間があれば、投資が回収できるのですから、私は、太陽光発電が、節約の大きな手段になると考えています。

もちろん、太陽光発電の促進に反対する人も一定数います。

主な反対の理由は、太陽光発電設備を廃棄するときにリサイクルの負担があることや、太陽光発電が普及すると、再生可能エネルギー発電促進賦課金が重くなって、一般世帯の電気料金がますます高くなってしまうことなどです。

ただ、政府は一昨年に「2050年カーボンニュートラル宣言」をしていて、温室効果ガスの実質排出ゼロを2050年までに達成しなければなりません。

そのなかで、太陽光発電は大きな役割を果たすものとみられます。

日本の屋根の9割がまだ空いているからです。

一度設置すれば長年にわたって家計の助けに

また、私は老後の生活設計のためにも、太陽光発電が重要な役割を果たすと考えています。

太陽光発電設備の寿命がどれだけあるのかは、まだはっきりしたことが分かっていません。

長期間運用している人がまだ多くないからです。

私が太陽光発電を始めてから、まだ8年しかたっていないのですが、いまのところ何の問題もなく稼働しています。

古くから太陽光発電を稼働させている人には、出力は徐々に落ちていくけれど、きちんとメンテナンスをしていけば、20年以上の稼働期間があると言う人もいます。

そうだとしたら、太陽光発電は老後生活の重要なパートナーになり得ると思います。

例えば、資金に余裕のある定年時に自宅に太陽光発電設備を設置します。

その後10年間は固定価格買い取り制度で余剰電力を買い取ってもらえます。

10年後に固定価格買い取り期間が終わった後も、余剰電力販売は続けられますが、買い取り価格は大きく下がります。

ただ、自家消費する部分に関しては、電気をほぼコストゼロで使えることになるので、年金給付が減少していくなかでは、家計の大きな助けになるのです。

また、太陽光発電と同時に蓄電池を設置すれば、自家消費の比率を大きく引き上げることが可能です。

蓄電池に関しては、自治体に加えて国の補助金も残っています。

さらに電気自動車を蓄電池として活用することも可能です。

発電パネルを設置できる屋根をお持ちの方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

森永卓郎(もりなが・たくろう)

1957年生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。東京大学卒業。日本専売公社、経済企画庁などを経て現職。50年間集めてきたコレクションを展示するB宝館が話題。近著に、『長生き地獄にならないための 老後のお金大全』(KADOKAWA)がある。

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『なぜ日本経済は後手に回るのか』

(森永 卓郎 森永 康平/KADOKAWA)

新型コロナウイルス感染症によって生じた日本経済の失速。その原因は長年続いている「官僚主義と東京中心主義」にあると、森永さんは分析します。では今後どうすれば感染拡大を抑え、経済的苦境を脱することができるのか――。豊富な統計やデータを基に導き出された、未来への提言が記された一冊です。

この記事は『毎日が発見』2022年8月号に掲載の情報です。

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