恐れではなく、愛で。計算ではなくて、アホウで。僕はこれからも、生きていく。/続・僕は、死なない。(39)<最終回>

「50歳での末期がん宣告」から奇跡の生還を遂げた、刀根健さん。その壮絶な体験がつづられた『僕は、死なない。』(SBクリエイティブ)の連載配信が大きな反響を呼んだため、その続編の配信が決定しました! 末期がんから回復を果たす一方、治療で貯金を使い果たした刀根さんに、今度は「会社からの突然の退職勧告」などの厳しい試練が...。人生を巡る新たな「魂の物語」をお届けします。

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『僕は、死なない。』出版、それから...

2019年12月18日、僕の本の出版日となった。

両親や姉、お世話になった人たちへ差し上げようと思って予約をしていた本が10冊ほど自宅に届いた。

単行本としてはページ数が若干多めのその本を手に取って、眺めてみる。

ああ、本当に本になったんだな...。

ずっしりとした本の重みが、なんとも言えない実感を伝えてきた。

この本を手に取ってくれる人がいるんだろうか?

読んでくれる人がいるんだろうか?

まったく、分からなかった。

でも、一人でもこの本を読んでくれる人がいて、一人でも僕の体験から何かを感じてくれる人がいたら、それでもう十分この本が世に出た意味があるんじゃないだろうか。

まあ、ちょっとは売れなければ吉尾さんは困るかもしれないけれど。

「本を買いました」

友人や知人たちから早速連絡が入り始めた。

この本は自分の体験談だから、僕のことが丸裸になったようで少し恥ずかしかったけれど、嬉しかった。

年末、新聞に広告を載せてもらった。

それは少し大きな広告枠で、従来だとなかなか空きの出ない人気枠だが、運のよいことにちょうど空きが出たとのことだった。

2020年になり、広告の効果が出たのか、Amazonの順位が一気に上がった。

なんと、カテゴリ別で1位になっていた。

総合ランキングでも100位内に入っていた。

驚いたな...嬉しい驚きだった。

その後、あの有名な斎藤一人さんを始め、僕が若いころからよく読んでいたスピリチュアル系の書籍の翻訳をされている山川紘矢さん亜希子さんご夫婦にも推薦していただいたりして、僕の本は広がっていった。

もう、本当に感謝しかない。

この本は書き上げた段階で、もう僕の手を離れていた。

あとは宇宙、全体にお任せの状態。

なんせ、僕はもう何の手出しもできないのだから。

僕は目の前にやってくる出来事に丁寧に、一生懸命対応するだけ。

もう自分で考えたり計画を立てたり、自分の努力で何かを成し遂げようとするなんてことはしない。

あれをやろう、これをやろう、をあえてしない。

全て自然に、宇宙に、全体にお任せする。

すると、何かがやってくる。

老子が言っていた"無為無"。

何もしないことを、する。

出版から約ひと月後、吉尾さんから連絡が入った。

「刀根さん、今朝、重版が決まりました。おめでとうございます!編集者として初めて重版がかかった時のような嬉しさです!」

発売ひと月で重版が決まった。

そして、約2週間後にさらにまた重版が決まった。

僕の本は、もうひとり歩きをはじめていた。

3月に入るころ、新型コロナが猛威を振るい始めた。

そして、4月になると、予定していた4月以降の研修が全てなくなった。

僕のメインの仕事である研修は、集合研修という形式で行うことが多く、つまり、みんなが集まる形式なので、中止か延期になってしまった。

しかし、これも全体の流れ。

僕はその流れの一部分にすぎない。

だから、慌ててもしょうがない。

出来ることをただ、淡々とやっていくのみ。

目の前に来ることを、丁寧にこなしていくのみ。

その間、本は順調に重版を重ね、7月になる頃には8刷まで来ることが出来た。

「通常、出版された本が重版される割合は2割弱と言われています。それが8刷なんですから、すごいですよ!」

吉尾さんは、嬉しそうにそう言った。

そうは言っても、きっと吉尾さんは僕の知らないところで、いっぱい動いてくれているんだろうけれど。

本当にありがとうございます。

Amazonのカテゴリ別ランキングは、8月になっても、ほぼ1位を続けていた。

僕は研修の仕事がなくなり、スケジュールが空白になった。

でも、なぜかワクワクする。

このまっしろなところに、宇宙は、全体は、いったい何を入れてくるんだろう?

次、どんな予想できない展開が、やってくるんだろう?

実際にいくつか、そういうものがやってきた。

『プチ断食リトリート』を主宰している『時空の杜』のオーナー中澤さんからは「『時空の杜』をソース・リトリートと名付けて、もっと心と身体と魂を感じるリトリートをたくさんやっていきたいんです。刀根さんに、ぜひ、一緒に新しい『時空の杜』を作っていく仲間になっていただきたいんです」とのお誘いを頂き、早速7月、8月、11月、12月のリトリートが決まった。

あの"氣"の素晴らしい場所でリトリートが出来るのは、最高に幸せなこと。

ネット番組『スピリチュアルTV』を主宰するいわぶちさんからも、講演会やセミナーの依頼を頂いた。

ほか、全国のがん患者の会からも、講演依頼が入ってくるようになった。

吉尾さんからは、僕が以前書いた小説の出版の申し出を頂いた。

出ていくものがあるからこそ、新たに入ってくるものがある。

なにも"ない"からこそ、新しいものが流れ込むスペースになる。

空白だからこそ、人生はおもしろい。

がんからの生還、突然の退職勧告、出版の中止...こういったことを経験した今、僕は思う。

受け入れられない状況の中で"苦しみ"を作り出していた"自分"を手放していくこと。

"苦しみ"を作り出していたのは『自我/エゴ』という"ニセモノ"の自分、生まれてから作ったプログラム(自動思考)にすぎなかったのだと、知ること。

この"自分"を手放せば手放すほど"本当の自分"に近づいていく。

そして、"本当の自分"とは、"宇宙"という流れの中の一部分であること。

だから、目の前に起こってくる出来事、宇宙が連れて来てくれたことに、抵抗せず、プログラムの自分で判断せず、過去の自分の握りしめたものに執着せず、軽やかに吹かれ、流されていく。

自分の"自我/エゴ"ではない直感と、目の前に展開する世界に、ひたすらゆだね、任せていく生き方。

"自我/エゴ"と"直感"の決定的な違いは、自我は頭で考えている『思考』だということ。

直感は『言葉』ではない"感じ"でやってくる。

"頭/ヘッド(自我)"と"ハート(直感)"あるいは、"恐れ(自我)"と"愛(直感)"と言ってもいいんじゃないだろうか。

頭(ヘッド)ではなく、ハートで生きる。

恐れではなく、愛で生きる。

計算ではなく、アホウで生きる。

流れがどこに向かっているかは、分からない。

どこに着くのかも、分からない。

しかし、それはきっと宇宙の最適解。

ただただ、それを信頼して身を任せる。

それが"サレンダー"という生き方。

僕の人生、これからなにが待っているか、さっぱりわからない。

でも、僕はこれからも、日々サレンダーをしながら生きていく。

【最初から読む】:「肺がんです。ステージ4の」50歳の僕への...あまりに生々しい「宣告」/僕は、死なない。(1)

【まとめ読み】『僕は、死なない。』記事リスト
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50歳で突然「肺がん、ステージ4」を宣告された著者。1年生存率は約30%という状況から、ひたすらポジティブに、時にくじけそうになりながらも、もがき続ける姿をつづった実話。がんが教えてくれたこととして当時を振り返る第2部も必読です。

 

刀根 健(とね・たけし)

1966年、千葉県出身。OFFICE LEELA(オフィスリーラ)代表。東京電機大学理工学部卒業後、大手商社を経て、教育系企業に。その後、人気講師として活躍。ボクシングジムのトレーナーとしてもプロボクサーの指導・育成を行ない、3名の日本ランカーを育てる。2016年9月1日に肺がん(ステージ4)が発覚。翌年6月に新たに脳転移が見つかり、さらに両眼、左右の肺、肺から首のリンパ、肝臓、左右の腎臓、脾臓、全身の骨に転移が見つかるが、1カ月の入院を経て奇跡的に回復。現在は、講演や執筆など活動を行なっている。

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『僕は、死なない。 全身末期がんから生還してわかった人生に奇跡を起こすサレンダーの法則』

(刀根 健/SBクリエイティブ)

2016年9月、心理学の人気講師をしていた著者は、突然、肺がん告知を受ける。それも一番深刻なステージ4。それでも「絶対に生き残る」「完治する」と決意し、あらゆる代替医療、民間療法を試みるが…。当時50歳だった著者の葛藤がストレートに伝わってくる、ドキドキと感動の詰まった実話。

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