「人生100年」とも言われている現代日本で、リタイア後の人生をどのくらい豊かに楽しく生きられるか、そのカギを握る1つの要素はやはり「お金」です。年金もさして当てにならない現代で心強いのは「保険」。しかしいざという時に頼りになる保険も、場合によっては支払いが無駄になることも。
そこで今回は、超高齢化社会を生き抜くためのお金のヒントを、ファイナンシャル・プランナーで(有)ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦さんに伺いました。
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大きな死亡保障は必要ありません
今後の保険について考える前に、いま自分が加入している保険について見直しをする必要があります。まず、死亡保障についてです。そもそも、この保障は自分が亡くなった場合に経済的に困る人がいる、例えば小さな子どもなどがいる場合に必要であって、子育てが終わっている私たち世代には、大きな死亡保障は必要ありません。
終身保険は払い済みなどを検討してみましょう
深野さんは「よくお葬式の費用程度の死亡保障を用意するなどといわれていますが、預貯金があるなら不要です。現在、終身保険などに加入しているなら払い済みにするか、解約を検討してみましょう。解約して戻ってきたお金は旅行に使ってもいいですし、病気になった場合に、その医療費に充てることもできます」と話します。ちなみに、払い済みにすることを保険会社に伝えると、保険料の支払いはストップし、それまでの積み立てられた保障額に変更されます。
医療保険の保障内容を確認、がん保険は継続しましょう
医療保険については、保障内容を確認することが大切です。昔加入した商品の場合、入院から5日たたないと給付金が出ないものなどがあります。もし、十分に蓄えがあるなら解約するという選択もあります。もし、差額ベッド代などに充てたいなら、入院1日目から給付金が出る医療保険にしましょう。持病があっても入れる保険については、深野さんは、「保険料が高いのがネックです。聞こえはいいですが、必要なときに役に立たないことがあるのでおすすめはできません」とのこと。
がん保険については、既に加入しているならそのまま継続しましょう。50歳以降、がんになる確率が高まるので、診断一時金などがあるものなら、いざというときの助けになります。
保険の見直しチェックリスト
□死亡保障は払い済みなどにする
自分に万が一のことがあった場合に困る人がいなければ、大きな保障は不要。預貯金があれば払い済みにする、または解約することも検討。
□医療保険の保障内容を確認する
入院して5日目からしか給付金が出ないものなどは見直す。入院日額1万円で契約している場合は入院日額5000円に減額することも検討。
□持病があっても入れる保険は保障の減額を
持病があっても入れる保険は、正式には「引受基準緩和型医療保険」という。保険料は高めなので、医療保険同様、保障の減額を検討。
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取材・文/金野和子
深野 康彦(ふかの・やすひこ)先生
ファイナンシャル・プランナー。(有)ファイナンシャルリサーチ代表。セミナーをはじめ、テレビ、新聞、経済誌などで、投資や家計管理について分かりやすく解説。著書に『55歳からはじめる 長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)などがある。