「人生100年」とも言われている現代日本で、リタイア後の人生をどのくらい豊かに楽しく生きられるか、そのカギを握る1つの要素はやはり「お金」です。年金もさして当てにならない現代で心強いのは「保険」。しかしいざという時に頼りになる保険も、場合によっては支払いが無駄になることも。
そこで今回は、超高齢化社会を生き抜くためのお金のヒントを、ファイナンシャル・プランナーで(有)ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦さんに伺いました。
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2017年の厚生労働省の発表によると、100歳以上の人口は、全国に約6万8000人。その大半は女性で、約88%を占めています。医療技術の進歩によるところが大きく、今後も増えていくと見られています。ただ、誰もが望むのは、寝たきりで100歳を迎えるのではなく、健康で迎えることです。しかし、年を重ねるごとに病気になるリスクは高まります。加えて、公的年金も少ないとなると「保険で何とかしよう」と思ってしまいがちです。
毎月たくさんのお金を保険に支払うことはリスクが高過ぎます
この考えに警鐘を鳴らすのは、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんです。「保険を考える場合、まず自分の資産を棚卸しします。それで賄えるのであれば、過度の保障は不要です。不足するところだけ保険で補うようにしてください。保険は万能ではありません。基本的に、平穏無事でいれば、保険からお金を受け取ることはありません。年を重ねるほど無理せずに平穏無事でいようとする世代にとって、毎月たくさんのお金を保険に払うことはリスクが高過ぎます」と指摘します。
病気で貯金を取り崩す可能性があることを自覚しておきましょう
また、病気や老後のためにお金をためていても、自分が大きな病気にかかるとは思っていないのではないでしょうか。大病すると、いままで手を付けなかった貯金を取り崩して医療費を支払う事態に遭遇します。このことも自覚しておきましょう。自覚していないと、病気で貯金を取り崩すだけで、精神的に不安になる人が多いようです
○今後必要になりそうな保険
次の記事「死亡保障は払い済みにする、がん保険は継続...今すぐ保険の見直しを!(2)」はこちら。
取材・文/金野和子
深野 康彦(ふかの・やすひこ)先生
ファイナンシャル・プランナー。(有)ファイナンシャルリサーチ代表。セミナーをはじめ、テレビ、新聞、経済誌などで、投資や家計管理について分かりやすく解説。著書に『55歳からはじめる 長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)などがある。