性別:女
年齢:47
プロフィール:ずっと働いてきて、高齢出産をしました。若いつもりが自分自身も心身ともに衰えを感じてきています。登山は30歳からはじめました。始めたきっかけは、30歳の夏、友達に誘われた富士登山です。それから47歳のいままで登山を続けています。
無謀だった、初めての富士登山
人生発の登山である富士登山は、友達のお母さんの病気回復の願掛けとして誘われました。登山経験ゼロの友達5人で登ったのですが、正直山をなめていました。誰でも登っている夏の富士山だから大丈夫だろうと軽装で、予備の防寒具もあまり持たずに、夜出発で一晩中歩き続けて翌朝下山という、信じられない無謀なスケジュールで登り始めたのです。もちろん山小屋泊もなし。このスケジュールは、絶対に人におすすめしません。初心者には特にです。
夜9時頃、吉田口5合目からゆっくり友達と話しながらの登山開始。その日の天気予報は晴れでしたが、台風が近づいてきているとのことでした。登り始めて1時間もすると、慣れない私達は、もう疲れを感じ始めていました。ずっと続く上り坂、しかも景色はずっとほぼ同じ、木もなく花もなく、土の上をひたすら歩き続けるだけです。眠気も訪れ疲れもピークに達してきた真夜中0時を過ぎた頃に、最悪なことに天気が怪しくなってきたのです。山の天気は変わりやすいとはこの事で、どんどん霧が濃くなってきて、寒さが増してきました。そのうち、信じられない嵐のような雨風に。まだ遠くにいる台風の影響もあったようで、あきらめて下山する人も多く見られました。
結局、ずぶ濡れと寒さと疲れで、山小屋に避難、急遽お願いして空いているスペースに、素泊まりでチェックインさせてもらいました。当然有料で、普通に泊まるのと同じ料金、たしか6000円くらいを支払って布団スペースで少し横になりました。痛い出費でしたが、ここでの休憩でかなり体調は戻せました。そこの方から山小屋は予約すべきだと教えられました。
数時間の休憩の後、頂上はもうすぐだと登山再開。仲間の一人は、高山病でひどい頭痛などが出たので下山しましたが、残ったメンバーでなんとか登頂しました。ひどい天気だったので、ご来光は見られなかったですが、日本一高い山に登れたという快感は味わえました。
やったと思ったのもつかの間、下山の時に膝を痛め、足が動かせないほど辛さの中なんとか下山しました。本当に辛い初めての登山でした。なのに、その後もまた登山をしようと思ってしまったのは、やはり登頂した喜びと山の上からの眺めをまた味わいたかったからかもしれません。
私が登山にはまった日
その翌年に、リベンジで富士登山をしました。前年の反省も踏まえて、山小屋を予約、登頂する日は十分に睡眠をとった上で富士山5合目まで車でいって、そこから頂上を目指しました。余裕をもった登山だったので、この時は初のご来光も拝めました。ここまでは、意地のようなもので登山をしていたと思います。
その後、友人が他の山にも登ってみたいと言い出し、八ヶ岳連峰の日帰りできる赤岳に挑戦しました。そこで、登山にはまったのです。八ヶ岳の自然豊かな登山道に感動してしまいました。緑茂る木々や美しい花、流れる小川に、周りに見える山々、どれも新鮮で、登山ってなんて楽しいんだ!と、この時初めて、登山の魅力に取りつかれてしまいました。
どちらかというと富士山は、日本一の山に登頂したぞ!という達成感のために、ひたすら登る登る、頂上で感動、下る下る、といった行程。これはこれで楽しかったのですが、山が連なるアルプスに来て、登山の楽しみは達成感だけじゃないんだなというのが、すごくわかりました。
赤岳も無事登頂。しかし、また無謀な日帰り計画をたててしまったせいか、時間が予定よりも遅れてしまい、帰り道を慌てたせいで、日が暮れる頃、道に迷うハプニング。本当に怖かったです。野宿必至かと思い始めた暗くなりかけた山道で、出会ったカモシカにビックリ。自然の中では生身の人間は弱いのだと気づき、とにかく走って山道を抜け、なんとか車道に出られました。タクシーを呼んで無事戻ることができて、携帯電話があってよかったとつくづく思いました。
登山の楽しさにどんどん魅了される
何回かの失敗をしたからこそ、登山のための装備や体力は、コツコツと積み重ねることができました。はじめのうちは日帰り登山を中心に、いろいろな山を登りました。そのうちテント一式や、ランタンやバーナーなどの道具を揃え、大きなリュックを背負って、テント泊も行えるくらいになるまでに成長することができました。最初の富士登山のときから考えると、うそみたいです。
初めてのテント泊は、南アルプスの北岳でした。白根御池小屋のテント場につくまでの、大きな荷物を背負っての登山は厳しいものもありましたが、南アルプスは高山植物が綺麗なことでも有名なので、美しい自然と素晴らしい景色の中、無事テント場到着。白根御池小屋は設備が整っていることでも有名で、水場も綺麗で快適なテント泊ができました。いままで、大きな荷物を背負って山頂を目指す登山をしていたので、この時初めてテントと荷物を置いて、軽装での北岳山頂へのピストン登山を経験しました。早朝出発でしたが、足取り軽く頂きへ到着!気持ちのいいことこの上なかったです。テント場までの下山も楽しめ、その後テントを畳んでの重装備の下山は、やはりきつかったですが、とっても充実したテント泊登山を楽しめました。
怖かった冬山も無事登頂!
ずっと避けてきた冬山登山も、比較的近場の低山である雲取山で経験しました。雪が残る春前の時期のテント泊でした。ところどころに雪道があるという感じだったのですが、その都度アイゼンをつけて、足元を確かめながら登りました。やはり冬山は緊張します。そして、冬山のテント泊も、かなりの防寒をしても明け方の冷え込みは、体の芯までこたえました。しかし、山頂からの白い山々の景色の美しさや朝のキーンと冷えた空気の清々しさは、冬山ならでは。これもまた、登山の楽しみの1つなのだと思います。
痛い目も怖い目もあってきたけれども、登山は私の中ではやめられないスポーツの1つです。自然の大きさを体感できる素晴らしいことです。高さや難しさにこだわることなく、どの山も楽しい。私は、あと数年で50歳になりますが、まだまだ登山は楽しめると思っています。日本はたくさんの山々がある国なので、これかもいろいろな山に登ってみたいなと思っています。
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