旦那が脱サラして夫婦で居酒屋経営を始めました。
何もかも順調だった矢先、旦那の浮気が発覚し、すったもんだの末に離婚して一人暮らしに。
その後、脳梗塞になり大事には至らなかったものの、私のことを心配した娘達の提案で、離れて一人暮らししていた長男と現在は同居しています。
▶前回|転職、闘病...色々あったけど結果オーライ! 熟年離婚は幸せすぎた
三人姉弟の末っ子である私が小学生高学年の頃、既に姉と兄は就職して独立していたため、私は母親と二人暮らしをしていました。
物心付いた頃から、母親から「早くしなさい早くしなさい」と急かされていたことを覚えています。
例えば母親が働いていた会社の慰安旅行(子どもは私一人だけ)に付いて行った時のこと。
宴会があるからと急ぐ母親のうしろを、温泉上がりの私は身体を拭きとる間もなく、汗を流しクシャクシャの浴衣を着て追いかけました。

どんな時でも早くしないと母親は怒るので、私はいつも母親の顔色ばかり伺っていたし、落ち着きはないし、喋る時も早口で...とにかく何をするにも急がなければと思っていました。
その性格は結婚してから少し緩和したようですが、半世紀過ぎた今でも根本は変わっていないように思えます。
例えば、居酒屋の女将を辞めて最初に就職したラーメン店では失敗が続き「もっと落ち着いて」と言われました。
そして、現在も続けている清掃のお仕事の出勤初日にも、職場案内をしてくれた上司に同じことを言われました。
観光地のビルなのでかなりのお客様がいるのですが、そんな中で上司の後を小走りでついていくと、「お客様とぶつかったりしてはいけないからゆっくりと歩いてね」と言われてしまったり。
他の時でも何かに付けて慌てている私は注意を受けてばかりでした。

そんな落ち着きのない私ですが、なぜこうなのか、娘と孫娘を見てふと考えたことがあります。
あれはまだ長女の二人目の子どもが産まれて間もない頃。
私が留守番をして下の子を預かり、長女、長女の娘、次女の三人で出掛けようと家を出た直後のことでした。
ドアホンの音がしたのでモニターを確認すると、そこには今しがた出て行ったばかりの孫娘ちゃんが立っていました。
私が「どうしたの?」とドアを開けると、孫娘は「おしっこ!おしっこ!」と言いながら玄関横のトイレに駆け込みました。

あぁ、おしっこをしたくて引き返して来たのね。
そう思っていたら、続いて長女がドアからひょっこり顔を差し入れると孫娘ちゃんに声をかけました。
「慌てなくて良いからね。ゆっくりしなさいね〜」

それを聞いた私は、「あら?そんな風に言ってあげるなんて偉いわね。私が子どもの頃は、『何してんの!早くしなさいっ!』っていつも母親に怒られてたよ、こういう状況の時にはね」と言いました。
すると
「おばあちゃんって毒親だよね」
長女がボソッと呟きました。

そう。私の母親は典型的な毒親でした。
私が今だに慌てたり、焦ったりするのはその時のなごりかなとも思ってしまいます。
「早くしなさいっ!」 じゃなくて、「慌てなくていいからね」って優しく言われていたならもう少し落ち着きのある大人になっていたのかな?私も...と、娘が孫娘に対してとった行動を見て思いました。
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