アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの会長に選出された時のお話です。
【前回】「全員入れません!」PTAの日帰り親睦旅行で予期せぬトラブルが...なんで!?
PTAの日帰り親睦旅行で、昼食を取るため料理屋さんに立ち寄った。
しかし、副会長の下条さんが全員入れる宴会場を予約していたはずが、バラバラでしか入れないことが判明した。
どうなっているのか追及しようにもどこかに消えてしまった下条さん。
下条さんを探していた黒木さんが血相を変えて知らせに来たが、「飲んでます!」の一言に頭が混乱した。
30名ほどしか入れない大部屋に、校長をはじめ先生方が今か今かと宴会開始を待っていて、廊下には部屋に入れなかった皆さんが溢れている状況で下条さんが飲んでるってどういう状況よ!
行った先は6畳有るか無いかの和室で、今まさに下条さんと若い教師4人でビールに日本酒と酌み交わして宴会真っ最中だったのだ。
「下条さん!!何やってんのよ!!」
私の声にびっくりしたのは教師たちだけで、下条さんはビールの注がれたコップを飲み干そうとしていた。
「なんで大広間の予約を取ってないのよ!まずはみんなで校長のお言葉を聞いてから乾杯する段取りだったでしょう!」
これには教職員たちが慌てて立ち上がって部屋から出て行こうとした。
そんな段取りがあるなんて下条さんからは聞いていなかったんだろう。
「なんでこんなところで飲んでんのよ!」
私が怒鳴るも、下条さんは悪びれも無くゆっくりと飲み干したコップに再びビールを注ぎながら、こう言った。
「ふん!若い先生たちも校長や教頭たちなんかおらんところの部屋にしたった方が、気持ちよう楽しんで酒が飲めるやないの!」
ここで下条さんの相手をしている場合じゃない。
急いで校長たちのいる部屋に走った。
「皆さんすみません。予約し忘れていたようで、今回大広間のご用意が出来なかったようです。
ひとまず皆さんお手にグラスを持って乾杯しましょうか!
他のお部屋になった方は、とりあえず間に座って頂くか立ったままで...。
飲み物行き渡りましたかー?
では校長先生お待たせしました。ご挨拶を!」
校長が本来長々と挨拶しそうな場だったが、状況が状況なので一言二言で済ませてくれた。
30名でも結構きっちりのサイズのお部屋に50名近くがひしめき合い、1/3ほどが壁沿いに立っている異様な状況。
もちろん下条さんの姿は無い。
その後、別のお部屋に割り振られた方はそちらに移動して行ったが、下条さんと一緒の部屋にいた教師たちは戻り辛そうに廊下で待っていた。
「先生たちが悪いんじゃなく、悪いのは下条さんですから。お部屋に戻って頂いて大丈夫です。ただ、あの人を信用するとこんな目に遭います」
先生方はすごすごと元の部屋に戻って行ったが、下条さんは出て来なかった。
大部屋に戻り席に着くが、この状況なので校長の隣が嫌だのなんのと言ってはいられない。
全ての責任は会長にあるのだから、「PTAの旅行は副会長の担当なので」など言い訳をする訳にはいかない。
前年度は大広間を使っての宴会だったのに比べ、こじんまりとはしたが料理はあらかじめパンフレットで選んだ通りで安心した。
スケジュールではこの後自由散策となり、各自でお土産屋を回るのも良し30分程度で出来るワークショップに参加するのも良しで、皆散り散りと料理屋を出て行った。
本来私も黒木さん達と回る予定だったが、今回はこんな不始末だったのでずっと校長の横で話相手をし続ける羽目になった。
小一時間後、バス移動の時間になりやっと校長の話から解放された。
4月の歓送迎会にはじまり体育祭や夏のエアコン修理点検費などの問題で、校長は苦々しく思っているのだ。
「今年の会長さんはやり手ですからなぁ」
校長が口にする立て続けの誉め言葉にたっぷりの嫌味が込められていて、それにただ「すみません」と言うだけだったので何を食べたのかさえ覚えていない状況だった。
バスに戻ると、下条さんが寝ているのが見えた。
「昼ご飯を召し上がった後、こちらでお休みになられています」
添乗員さんの話しでは、皆が下車した後運転手さんも休憩になるのでバスは無人になる予定だったが、酔った下条さんが無理を言って乗り込み、運転手さんも添乗員さんもろくに休憩が出来なかったらしい。
もう本当に申し訳ない。
2か所ほどトイレ休憩を兼ねてバスは停車したが、下条さんは寝たままだった。
夕方の解散時間に間に合い、私を含めて本部役員が真っ先に降り、バスから降りる参加者にお礼の挨拶と謝罪をした。
参加者の皆さんは先生も含めて口々に「楽しかったです」と声を掛けてくれたのが救いだった。
本来同じ本部役員である下条さんも私達と一緒に降りてくるはずだったが、他の参加者と同じように降りてきて、そのまま無言で帰って行った。
本部役員はそのままの足で喫茶店に移動して、反省会と称するお疲れさん会を開く予定だったので移動。
喫茶店の席に着くなり、黒木さんから「会長...顔色が...」と言われる。
もう私自身が精神的に疲れたのと下条さんの愚痴しか思いつかない。
本部役員達も同じように旅行の疲れ以外で疲れていたので、下条さんの愚痴しか出て来ない。
「いや、それでも逐一確認をしなかった私が悪いねん」
下条さんが元会長である米沢さんが差し向けたトラブルメーカーだとわかっていたが、仮にも子どもを通わせている学校のPTAでこんな事をするとは思っていなかった。
「いやいやいやいや!会長が悪いんやありませんよ!」
皆がそう言ってくれたが、全て会長の責任なのだ。
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