夫が脱サラして始めた居酒屋を夫婦二人三脚で営んできました。
ところが、夫と常連客だった女の浮気が発覚。そして離婚...。
現在の私は一人暮らし。近くに住む孫たちと楽しい日々を過ごしております。
▶前回|【アラカンおひとり様ライフ】今日から新人アルバイト!新しい仕事を覚えるのは大変で...
旦那と別居して1人暮らしになってから働き出した飲食店。
そこでのお仕事も、数日が過ぎました。
先輩方に仕事を教えて貰いつつ、開店前の仕込みや準備等を終えて開店時間となりました。
開店前の仕事には慣れていない事もあり、もたもたとしてしまいましたが、20年近く居酒屋の女将として働いていた私は接客には自信がありました。
「いらっしゃいませ」
続々と入ってくるお客様にそう言うと
「あれっ!?また新しい人か。よろしくな」
と声をかけられました。
『また?』ちょっと気になる言い方でしたが、その方はお店の常連さんだったようです。
その日からまた数日後のこと。
何度か仕事を教えて貰った男性社員さんが私服で来ている事に気付きました。
私がそちらを見ていたら、他のパートさんが声をかけてくれました。
「◯◯さん、ここ辞めるんだって」
転職する人がいるのは珍しい事では無いので、その時は『あぁそうなんだ』くらいにしか思っていませんでした。
またある日には、私とほぼ同じ頃に入った若い男性が店の奥でオーナーと向かいあって話し合いをしているのが見えました。
その後、オーナーが私の横を通り過ぎる際に、その男性に新しい作業を頼んだのに断られたと意味ありげに言ったのです。
その時の私は、若いアルバイト君は自分の意見をちゃんと言えて偉いなと思っていました。
何故なら私ならば断る事が出来ずになし崩しに了解していただろうと想像出来たからです。
悪い予感は当たり、数日後の仕事の後にオーナーに呼ばれた私は、新しいお仕事を打診されました。
その内容は、お店のメインの料理を作って提供して欲しいということでした。
ちょっとした調理を頼むかも知れないと言うことは面接時に聞いていました。
けれど私的に、そのお店のメイン料理は修行した職人さんが作る物と言う考えがあって、パートの立場で作るというのは違和感はありました。
そういえば夜の時間帯はともかく、お昼時は何人かいる女性のうちの二人の方のどちらかがいつもメイン料理を作っていました。
それは、パートさんが率先して作りたいからやっているのだと思っていましたが、オーナーからその作業を打診されたのだと考えると納得がいきました。
自分が女将として居酒屋をやっている頃、料理にこだわりのある旦那が他の人に調理を任せることはありませんでした。
そんないきさつもあって、私にはそのお店の看板商品を作る事を受け入れる自信はありませんでした。
それに先日仕事を断っていたバイトの男の人の事も脳裏を過ぎりました。
なのでオーナーにその仕事はお断りしたいと答えました。
すると入店からずっと温和に接して下さっていたオーナーの態度は私の言葉を聞いた直後から一変し、「採用したのは女将のスキルがあったからなのに」と言われました。
この事が切っ掛けになり、離婚後に順調にいっていた私の再就職事情は狂い始めていきました。
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