アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの会長に選出された時のお話です。
【前回】「高卒程度のオバハンの話は聞きたくない」不良少年の親からまさかの暴言を浴びせられ...
非行少年の面談をするのに両親揃ってくれと言うと、旦那が「資格も無い世話焼きオバハンの言う事を、なんで聞かなきゃならん?って言うんです...」と正直にそのままを私に言ってしまう母親に呆れ、結局本人H君とは二人で会う事になった。
とりあえず礼儀として正座をさせ、チョットきつめに頭を撫で、理由やら何やらを聞きだし、とりあえず高校だけは行けと話した。
本人は高校に行くメリットが無いと言うのでその理由を聞いたが、これがまた呆れる内容だった。
「高校行かんでも困らんって先輩が言ってる。行ってない先輩を見ても困ってるようには見えん。むしろ毎日が楽しいって言うてる。中学を卒業した途端、学校からも電話が掛からんし、親も何も言わんようになったって言うてる」
実際の話、毎年4月には高校に進学しなかった子達がわらわらと通学路に普段着姿で屯(たむろ)し、高校の制服を着て駅まで歩く子らに「いってらっしゃ~い♪お疲れ様でーす!」と大声を上げて手を振りながら笑っている姿が見られる。
パッと見、毎日それはそれは楽しそうに見える。
毎日家に帰らなくても、朝いくら寝坊しても、当然卒業したのだから中学校からの電話は無い。
親も『学校に行かせなければならない』という足かせが無くなったからか、食事代に数千円を置いていくだけで、むしろ楽になったと言う親は実在する。(ここから少々言葉遣いが悪くなります。ご勘弁を)
「あんな、そもそもその先輩っていくつや?高々16や17やろ? あんなもんな、自分は幸せでハッピーやって言うとかんと、自分で自分を肯定しとかんとやっとられんやろ。みんな同級生は高校に進学して、部活がどうの検定がどうの、資格がどうのって言うとるのに自分らは毎日日曜で。『おれら情けないわ』なんかやっとったら恥ずかしすぎるやろ!?何か手に職を付けたいやら、将来の夢があって何かを始めたいやら言うならまだしも、出席日数や成績が足りんやら、素行不良で受けれる高校がありませんでしたって言うのがバレバレやからな。そりゃあ中には家庭の事情で進学出来んかった子もおるやろうけど、少なくともこの学区ではそんな子はほとんどおらん。本当に生活に困窮して進学出来んかった子は働いてる!あれを見て『カッコええなぁ!俺もあんなんになりたいわ!』って思うとるあんたが不思議やわ!」
「でも、マジでみんな困ってへんで?」
「困ってへんのは今だけや! そしたらな、あんたの先輩言うんは16・17やろ?そいつらの先輩は今どないしてる?」
ここで【ん?】となるH君。
「16や17の先輩も、あんたが言うような『先輩』がおったやろ? その先輩たちが今何してるのか知ってるか?一回聞いてみぃや。16や17の先輩たちが毎日パラダイスやったら、18や19の先輩たちも更にパラダイスになってんのやないん?そもそも、今地元におるか?見た事あるか? 18や19言うたら進学や就職で、大学生活や新社会人で忙しい。そこに無職で毎日日曜で遊んでるやつらが『いってらっしゃ~い♪』言うててカッコええと思うか?そいつらをカッコええと思うのは、あんたらみたいな先輩って呼んでるやつらだけやで。そのうちに『いつまでもアホな事やっとられん』って気付くねん。まぁ、中には気付かん奴もおるけどや。だいたいは気付く。いつまでも小遣いをパカパカ出してくれる親ばっかりやないから働かんとあかんしな」
「あ、それやったら土木作業員でもしようと思ってるで!」
「朝の8時半の始業時間に起きて登校出来ん奴が、朝の7時起きで現場集合して夕方5時6時までの仕事なんか出来るかい!あんた、現場仕事が2~3時間で帰れると思うとんのか?とりあえず今日は3千円稼げればええんですって帰る気か?1日2日働ければええんですなんか言うてみぃ、次から声は掛からんで。舐めとんのか」(今はネットで派遣やバイトで短時間がありますが当時は無い)
顔が引きつってくるH君。
「なんで18や19や20や21の先輩らが地元におらんようになるかわかるか?同級生らが、大学生です社会人です、長い夏休みでバイトしてますサークル活動です、ボーナス出ましたって中で、16や17の時みたいにパラダイスですって言える状況にならんからや。想像してみぃや。あんた5年後に同窓会しますってなったらどうする?みんな大学卒業して新社会人やったり、高卒で就職して社会人5年目ですって中で、たまにバイトやってるだけですって言える?」
私の実家が工務店だったので、本気でまじめに土木作業員をやってる子もいるが、1日で来なくなった子が多かった。
本当にお金を貯めようとか、技術や資格を取ろうと思っていないと、日銭が欲しいだけの子は続かない。
今の様にパソコンやスマホ1台あれば稼げる、色んなバイトが探せるなんて言う時代じゃなかった。
「あんたが今生活出来んのは、親が食わせてくれとるからや。この先にあんたに女が出来て、将来子どもも出来たとするわな? あんた、今の生活と同じくらいの生活をさせてやれる自信はある?『自身はある!やってやろうやないか!』って言うんやったら立派なもんやわ。応援するわ。たった3年で一生消えん高卒の資格が取れるんや。資格で言うたら、中卒やと取れん資格もようけあるし、高卒でも取れん資格もある。とりあえず高校は行っとけ」
H君の本当の所は、親にヤイヤイ言われることが苦痛らしい。
「とりあえず高校卒業したら地方の大学か就職して独り暮らししたらええやん。それまで長いと思うやろうけど、自分の親をその点利用したらええんちゃうん?あんたの親って社長なんやろ?高卒取って就職するか、親の金で大学行って大卒になるか、自分の将来にとって何が得かを考えた方がええで。あの先輩らは責任取ってくれへんからな。親と縁切りたいと思うとんのやろうけど、縁切るのは今やないで。 今縁切って損するのはあんただけや」
その後も色々と話しをして、H君はなんとか高校進学を目指して中学にも通う約束をしてくれた。
別れ際、
「あっ、そんで今日はお母さん何してんの?」
「あ...、テニスです...」
大きなため息が出た。
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