弟に裏切られ、経営破綻した店の債務をひとりで負うことに...50代で再就職したその後の人生は

「40代の女性です。老舗呉服店の店主だったAさん。経営破綻に加え、弟に裏切られるという残酷な運命にも関わらず、バイタリティ溢れる生き方に感動した話です」

アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?

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■お店の経営悪化、さらに実弟の裏切りにあった店主の運命は?

父(75歳)の知人のAさん(現在70歳)の話です。

Aさんは老舗呉服店の跡取りでした。

この呉服店はAさんの曾祖父から続く老舗で、Aさんは幼少の頃から家業を継ぐために英才教育を受けてきました。

Aさんには3つ年下の弟がいて、彼もまた、Aさんと一緒に呉服店を継承するべく育てられました。

そして長男のAさんが社長になり、寡黙でしっかり者の次男のBさんは経理などのバックオフィスを担当し、Aさんを支えていました。

Aさんはまめで社交的な人で、これまでの顧客のフォローはもちろん、新規の顧客を開拓し、ますます家業を盛り立てました。

しかし、時代の移り変わりとともに、高価な呉服は一般的には受け入れられなくなってきました。

安価でも見栄えの良い商品や着物レンタルなどが普及し、老舗の呉服店の経営は陰りを見せ始めたのです。

それでもAさんは、なんとか店を続けるために試行錯誤を重ね、努力を惜しみませんでした。

曾祖父から続く呉服店の店主としての誇りを持ち、店を守りたいと思っていたのです。

そんなAさんの気持ちも虚しく、ついには経理を担当していた弟から、経営が破綻したと聞かされたのです。

Aさんは自分の代で店を潰してしまったと、自責の念にかられました。

しかも落胆するAさんに、さらに追い打ちをかける出来事が起こっていました。

経理を担当していた弟は、経営が立ち行かなくなると判断するやいなや、共同経営者の立場から退き、Aさんだけが責任者となるよう勝手に手続きを行っていたのです。

Aさんはたった1人で、店の債務を背負うことになってしまいました。

大切な店を手放すだけではなく、実の弟にまで裏切られたAさんの心情はどれほどつらかったでしょうか。

■Aさんの人生の巻き返しがすごかった!

このとき、Aさんはすでに50代半ば。

呉服業界のことしか知らず、また会社勤めの経験がなかったAさんは、再就職するにはよほどの努力が必要だったと思います。

しかし、ここからがAさんの本領発揮でした。

Aさんは知り合いの紹介で食品会社の営業職に就きました。

そして、呉服店の経営で培った社交性でぐんぐんと営業成績を伸ばし、50代で入社したにも関わらず、定年退職までには部下を何十人も持つ役職に出世していたのです。

Aさんは後輩育成にも尽力しました。

1年前、惜しまれながら会社を定年退職。

呉服店の債務は、会社員時代にすべて完済したとのこと。

かつては共同経営者だった弟に助けを求めることなく、たった1人で。

Aさんを裏切った弟とは、昔のような仲の良い兄弟に戻ることはないものの、縁を切ることはせず、変わらず家族として付き合いを続けていました。

Aさんの人間としての器の大きさには、本当に感心させられます。

Aさんはいまでもお元気で、趣味のゴルフや音楽を楽しんでいるようです。

時代の影響もあり、呉服店の経営はうまくいかなかったけれど、逆境に負けないAさんのバイタリティと人を惹きつける人間力にとても感動しました。

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