目の前に車椅子利用者がいるのに...「便利だから」と思いやり駐車場を利用した女性の「ありえない主張」

「60代男性です。世の中にはいろいろなハンディキャップをお持ちの方がいます。そうしたハンディキャップをできるだけ埋めることは社会の責任だと思うのですが、そうした扱いを『優遇だ』『自分たちが損をしている』と受け取る方もいらっしゃるようです...」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?

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■「思いやりスペース」に車を滑り込ませた女性、その姿に感じた違和感

2023年の9月のことです。

私がよく利用するスーパーマーケットの駐車場はとても入りにくい造りになっています。

場内は一方通行で空きスペースを探しているうちに出口に至ってしまい、止むなく外の道路を一周りしてから入り直し...何てことも少なくありません。

そんな駐車場で、いつも空いているスペースがあります。

そこは建物の出入り口にも近く、まさに垂涎のスペースですが、ほとんどの車は素通りしていきます。

なんだかミステリーのようですが、理由は簡単。

そこは障害者や妊娠中の女性などが利用する専用スペース、いわゆる「思いやりスペース」だからです。

なかなか停められずにいる時は思わず誘惑に駆られるスペースですが、その日、私が買い物を終えて店を出た時、1人の女性(30代)が運転する車がそそのスペースに駐車しました。

しかしそのとき、ふと違和感を覚えました。

車には障害者である表示は見当たりませんし、ごく普通の軽自動車で特殊な構造には見えません。

そしてドアを開けて降りてくる姿もスマートな方で、妊娠しているでもなく、少なくとも車の乗降に不自由があるようにも思えませんでした。

すると、その車のすぐ後ろに続いていた車がクラクションを鳴らしました。

クラクションをした車は障害者の運転する車である表示を付けており、窓越しには中に車椅子も見え、明らかに本来そのスペースを利用するべき方のようでした。

ところが、車を降りかけていた女性はそちらを一瞥しただけで、何事もなかったように車をロックし店の方に歩き始めました。

「あの...まだ空いてるスペースもあるようですから」と、歩き始めた女性に私は声をかけました。

実際、そのときの駐車場は割と空いていて、移動するとしてもそれほど遠い距離もでもありませんでした。

ところがその女性の反応は意外なものでした。

■返された言葉に耳を疑う。必要な扱いを受けることが「逆差別」?

「だったらあっちの車がそこに停めたらいいんじゃないですか?」

「いや、でも障害をお持ちの方のようですし、そのスペースは...」と、言いかけるとその女性はいきなり激しく言い立ててきました。

「そもそも駐車場なんて早いもの勝ちでしょ? 誰だって便利な所に停めたいんだから。それを障害があるってだけでいいスペースを使えるなんて、そんなの逆差別よ!」

吐き捨てるように言うと、その女性は早足で店の方に入っていってしまいました。

「逆差別って...必要があるから用意されているスペースなんだから、理由もなく優遇してるわけじゃないだろう」

憤懣やるかたない気持ちでしたが、致し方なくクラクションを鳴らした車に歩み寄りました。

「どうしても動いていただけないようです...」

すると同じく30代と思しき女性が困惑した表情で窓を開けました。

「困りました。このスペースじゃないと車椅子を出して降りられないんです...」

たしかに通常の駐車スペースでは隣の車が邪魔をして車椅子を出すスペースは取れそうにありません。

面倒なことになったなあと思いながらもこのまま放っておくのも気が引けます。

近くにいたお店の方に助けを求めると、店舗裏側の従業員用のスペースを使うように計らっていただけました。

「従業員通路から店内にご案内できますので」

店長という名札を付けた方(50代)が解決策を提案してくださり、車の女性はその方に裏側への行き方を案内されてから、私にも一礼されて去っていかれました。

なんとも後味の悪い幕切れでしたが、私の頭の中では「逆差別」という言葉がぐるぐるしていました。

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