「61歳の男性です。日頃の運動不足を解消しようと思っても、テニスだのゴルフだの、なかなかハードルが高いと二の足を踏んでしまいますよね。そんなとき、聞いたこともないスポーツを勧められたら、あなたならどうしますか?」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?
■次々と聞いたこともないスポーツにハマっていく後輩
町の公民館に勤めるWさん(59歳)は、私がまだ駆け出しだった40年近く前、1986年に役場の町民課に入庁した後輩です。
当時、見るからに爽やかな好青年といった印象のWさんは、私とは対極のスポーツマンでした。
入庁当時、Wさんがハマっていたのは「インディアカ」というスポーツです。
これは大きなバドミントンの羽根のようなものを手で打ち合うスポーツでした。
バレーボールのルールでボールの替わりに羽根を使っているといえばイメージしやすいでしょうか。
「すっごく面白いんです。誰でも簡単にできるんで、やってみませんか?」
爽やかに誘われて、同好会なるものに付き合ったことがあります。
バレーボールと違ってふんわりと飛び交う羽根の動きは、たしかに簡単そうに見えました。
しかし、見るのとやるのとは大違いで、運動音痴な私には飛んでくる羽根を打つのも結構難しく、すぐ挫折してしまいました。
気まずくてしばらくWさんと距離を置いていましたが、ある日、昼休みに役場の中庭で、何やら竹の玉のようなものをサッカーのリフティングのように蹴り上げていました。
「それ、何?」
好奇心で聞いてみると「セパタクロー」という竹でできたボールを蹴り合う、これまた足でやるバレーボールのようなスポーツでした。
「日本の蹴鞠のような感じで、落とさないように蹴り合うのが面白いんですよ」
例の爽やかな笑顔で語られてしまいました。
そう、彼は珍しいスポーツを次々と試していくオタクだったのです。
その後、彼は「カバディ」というスポーツのクラブに入りました。
これはインドのスポーツで「カバディ、カバディ」と叫びながら相手の陣地に入って、捕まらないようにゴールを目指す鬼ごっこのようなものだそうです。
私が総務課に異動してしばらくぶりに会ったときは、1m以上ある柔らかいボールをチームに分かれて落とさないように打ち合う「キンボール」というスポーツを始めたと嬉しそうに話してくれました。
■「好きこそものの上手なれ」健康的な日々を送る姿が眩しくて...
次々とニュースポーツに傾倒していくWさん。
その積極性を見込まれて10年ほど前から公民館に異動となりました。
肩書は「健康促進指導員」です。
趣味と実益を兼ねて新しいスポーツの普及に努める役割とのことでしたので、まさに彼の天職でした。
彼はハマったスポーツの道具を揃えるため、それらを保管する自宅はさながらニュースポーツの展示場です。
人工芝を敷き詰めた庭には、インディアカやセパタクローに使うネットが常設されており、近所の子どもたちなどに開放しているそうです。
6畳ほどもある大きな物置の中には、さまざまなボールやラケットなど道具がぎっしりと詰まっています。
2018年、平昌オリンピックでカーリングが話題になったときは、「カローリング」に夢中になっていました。
小さな車輪を付けた円盤をストーンの代わりにして床で転がす競技です。
このときは自宅の縁側のフローリングを張り替えて競技用のコートを設えて、体験会を行っていました。
そうやってニュースポーツを続けている結果、もうすぐ還暦を迎えるWさんの見た目は30〜40代に見えます。
運動習慣が身に付いていることもありますが、次々と珍しいスポーツに心ときめかせる、無邪気な好奇心を持ち続けていることも理由かもしれません。
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