アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
【前回】「結婚式の司会しながら漫才もしてほしいねん」マリッジハイな友人のむちゃくちゃな要求
高校時代の同級生、百合の結婚式の司会を引き受けた。
ところが、結婚式前で頭の中がお花畑だからか、百合のお願いは司会だけにとどまらず、「漫才して」とまで言い出した。
「あぁ、そうや久美を誘ってコンビ組んでやってよ。かづはそんなん喋るん得意やろ? 久美にお願いしてネタ合わせしてぇな」
「いや、でも久美と漫才は無理やと思うわ...。それに私司会もするねんで?『次は漫才ですー!』って自分で司会して自分が出て行くの?」
「はははは! ダイジョブ! ダイジョブ! かづには後友人代表のスピーチもしてもらって、歌も歌ってもらってー、あ、歌は2曲な♪」
「はぁぁぁぁ!?」
スピーチだけならいざ知らず、漫才なんて嫌すぎるのに、更にダメ押しのように2曲も歌えと??
「いや、ちょっと待って! そんなら私は司会やから最初から最後までずーっと出ずっぱりやのに、その中でスピーチに出て、漫才しに出て、その後2曲歌うん?」
「2曲って言うか、2回な♪」
「スピーチに出てくるわ漫才に出てくるわ、歌を歌いに2回また出て行くって事? 他の人は? 他の人にも頼みぃよ。そうだ、百合の元同僚の2人にも何かして貰えばええやないか!」
「あぁ、あかんあかん! その人らそんなんするタイプやないねん。新郎側ばっかり何回も余興してくれるのに、こっちもそれに回数合わせなあかんやん?」
あかんやん?って...。
知らんがな。
だんだんムカムカしてきた。
「こっちは親戚のおじちゃんやおばちゃんが適当にスピーチするって言うてるけど、余興まではしてくれへんから。そしたらなんか考えといてな! 久美にもよろしくー! また連絡するわー!」
そう言って百合は電話を切った。
「ちょっと待って! ちょっと待って! ちょっと待ってー!」
あまりにもの事に呆気に取られ、受話器を持ったまま暫し頭の中の整理に時間がかかった。
えっ? そしたら何?
「司会のかづですー」って出て行って、進行途中で「高校時代からの長年のご友人からお言葉を頂戴いたします」って自分が出て行って喋ってそのまま引っ込んで、それから色々余興があって「次は新婦のご友人が高校時代のエピソードを盛り込んだ漫才ですー」って自分が出て行くの? それもあのおとなしい久美と!? 久美なんかツッコミもボケも出来へんやん! いや、そんな話やない! 落ち着けわたし! その後に2回も歌を歌いに出て行くって...、どんだけ出たがりやねん。
自分で出たいって言うならまだしも、向こうとの数合わせって...。
いやいや、わたし芸人ちゃうし...。
無理無理無理無理。
久美に相談しない訳にはいかないので、その晩電話をかけた。
久美に一部始終を話したら案の定絶句していた。
「私...、漫才なんか無理...」
「そやろ、私だって司会しながらそんなに出て行くような事したないわ!」
「どうしよう...、かづはどうするん?」
「とりあえず漫才は無理やし、するんやったらスピーチと久美と一緒に歌うたうくらいまでかな」
「かづと一緒に歌うくらいやったら...」
私はこの際だからと、先日百合が婚約者と一緒にうちに来てマルチを勧誘されたことを話した。
「えっ...、私にはそんな事一言も...。私なんか勧誘しても役に立たんって思われてるからかな」
「あんな、もし百合がこの内容を強制してくるんやったら、結婚式欠席するわ」
「えぇぇぇ! それはちょっと...」
「じゃあ久美は、漫才する?」
「それは...」
「やろ?」
その後百合から再度スピーチ・漫才・歌2曲の確認が来たのできっぱりと断った。
それと同時に招待状にも欠席に印を入れて出した。
その事は久美にも連絡し、けれども久美が出席する事は自由だとも伝えた。
案内状の返信を出してからも、また結婚式当日が過ぎてからも百合からは連絡が無かった。
久美からも連絡は無かったが、その頃私も忙しくしていたのと百合の話題が出るかもと思ったら嫌で、なんとなく久美に電話をせずに月日が過ぎた。
その翌年、私自身が同窓会を開くだけの時間的余裕が無く、今年は無しだなと思っていたところに同級生の典子から電話が来た。
典子から聞く話に驚いた。
百合の結婚式に久美は出席し、その時に百合彼の弟を紹介されたらしい。
そして3か月後には久美はその百合彼弟と結婚したと言う。
なぜ典子がそんな事を知っているのかは、百合から勧誘電話が来たと言うので察した。
百合と久美が義姉妹になったのかぁ。
まぁ、皆さんがお幸せならそれで良いんじゃないですか?
私の心の中はスッキリしていた。
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