<この体験記を書いた人>
ペンネーム:うさぎ
性別:女性
年齢:51
プロフィール:子どもが修学旅行に行きます。自分が行った時のことを思い出し懐かしくなりました。
2023年2月のことです。
薬剤師のCさん(男性47歳)が、在宅訪問の薬を患者さん宅へ届けるために細かい準備をしていました。
私たちの職場では、在宅訪問で患者さんの自宅に伺って薬を届けています。
在宅訪問は数年前から取り入れていますが、ここ2、3年はコロナ禍ということもあり急激に増えました。
そのため、一目で分かるような一覧表にしておかないと把握できないような状態です。
在宅訪問では、大きな病院から送られてくる処方箋など、緊急に手配が必要な場合もしばしばあります。
緊急の要請が来ると早く薬を調合しなければならないので、職場の雰囲気はピリピリモード。
緊張感に包まれています。
細かい請求金額に関するルールもあるのですが、じっくりと書類を見る時間はありません。
金額の間違いはしてはいけませんが、ときどき追加で請求しなければいけないものを忘れてしまうことがあります。
このときも、先輩事務員のAさん(女性52歳)が処理をした際、請求項目を1つ忘れてしまいました。
Aさんは「どうしよう...」と言ったものの、担当のCさんはすでに患者さんのもとに行ってしまい、職場に不在でした。
困ったAさんは、別の薬剤師のBさん(女性47歳)に相談しました。
Bさんは「この次の請求でいいよ」と言ったので、Aさんは安心してしまい、Cさんが外出から帰って来ても、請求漏れについて報告をしませんでした。
しかし、CさんはBさんからこの請求漏れのことを聞いたようです。
ミスをした本人からの報告でなく、しかも担当ではない薬剤師に相談したことについて怒ってしまいました。
「僕に言ってください。担当じゃない人に内容を話したって分からないでしょ。それに、次があるかも分からないよ!」
厳しく言われ、Aさんは落ち込んでしまいました。
私は「次があるかも分からないなんて...言っていいの?」と思って聞いていました。
「こんなミスをするならもう辞めろってこと? 言い過ぎでは」と思いました。
しかし、Cさんの言葉の意味は違ったのです。
なんと2、3日後にその患者さんの容体が急変し、帰らぬ人になってしまいました。
本当に「この次」はなくなってしまったのでした。
うちの職場では、患者さんが亡くなった後、こちらのミスで請求漏れしたものは請求はしないことにしています。
当たり前のように「この次ね〜」なんて話すことがありますが、私たちの仕事には「この次」がない場合もあります。
今回はお金のことだったのでまだよかったですが、命に関わる仕事です。
緊張感を持って取り組んでいかなければと思った出来事でした。
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