<この体験記を書いた人>
ペンネーム:キジトラ
性別:女性
年齢:46
プロフィール:アラサーでオーストラリアへ移住。夫と2人で旅行を楽しむのが趣味の主婦です。
今年1月に私と夫(48歳)、友人の外国人のG氏(53歳)の3人で、地方を観光した際の話です。
G氏は欧米系の白人男性で、身長が190cm近くもありますが、フレンドリーで明るいキャラクターです。
2週間ほど観光目的で日本に滞在していました。
G氏は優しい性格でサービス精神も旺盛なため、どこへ行っても地元の方々から好感を持たれていました。
若い女性が散歩させていたチワワまで、彼の顔をじっと見続けて飼い主さんにリードを引かれても目を離さないほどG氏の虜になっていたくらいです。
そんな「懐かれ体質」ともいえるG氏。
ときには、意外な方から意外なお願いをされることもありました。
3人で一緒に、第二次世界大戦時の戦艦などが展示されているミュージアムへ行ったときのことです。
G氏は展示物を興味深く観覧し、有名な戦艦の模型にも夢中になっていました。
一緒にいた夫もいつになくテンション高め。
そのミュージアムはさほど大きくなかったため、私は小1時間ほどで見て回れるだろうなと思っていたのですが、なんと3時間も滞在することになったのです...。
ミュージアムでは、夫とG氏は途中から別行動で、それぞれが好きなように展示物を見て回っていました。
すると、戦艦の模型をいろいろな角度から撮っていたG氏に、1人の男性(推定20代)が近づいて来ました。
男性はリュックを背負い、手には白い紙袋。
「ハロー、アイアム、オタク」と言って、G氏に声を掛けていました。
最近のオタクな人は自ら「オタク」と名乗るようです。
「オタク」という言葉はG氏も知っていたため、彼も「ワオ、ユーアー、オタクー、ワンダホー」と応対していました。
その男性、何やらG氏にノートを差し出してお願いしているようでした。
G氏は首を傾げ、私の姿を見つけるなり、手招きしてきました。
私が「どうしたの」と訊くと「彼がこのノートにサインをしろと言っているみたいなんだけど、どういう意味?」と言います。
どうやら男性は、外国人であるG氏のサインが欲しかったようでした。
しかし、外国人にとってサインは書類などにするもの。
いわゆる著名人のサインは、英語では「autograph」と言うのが一般的です。
そのため、G氏は困惑したようでした。
私が「彼はあなたのautographが欲しいんだって」と、G氏に説明しました。
すると「え、僕はセレブリティなの⁉」と驚いていました。
正直、妙なお願いに私も驚きました。
気をよくしたG氏は、快くノートにサインをして一緒に写真まで撮ってあげていました。
折角なので男性にノートを見せてもらうと、そこにはおそらく一般人らしい外国人のサインがびっしりと書かれていました。
聞いてみると、彼は欧米系外国人のサインを集めるのが趣味なのだそうです。
たしかに立派なサインは、芸術的にも見えました。
最近は変わったコレクションをされる方がいるんだな~と、思わず感心してしまいました。
しかし、驚いたのはその後です。
私たちはミュージアムを出てから別の場所へ移動したのですが、なんとそこでもまた別の男性にG氏はサインと写真撮影をお願いされていました。
その方もまたリュックに紙袋といった、オタク特有の特徴的ないでたち。
ミュージアムの男性が特殊だと思っていましたが、実はコレクター界隈ではよくある趣味なのでしょうか。
コレクターの世界は奥が深いなと思いました。
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