<この体験記を書いた人>
ペンネーム:aaby
性別:女性
年齢:56
プロフィール:猫ラブ・ベジタリアン・夫は外国人。
いまから10年前の話です。
私の住んでいる所は温泉が多く、全国的にも有名な温泉県です。
私は県外出身者ですが、日帰り温泉がそこかしこにあるので、夫(50代)と2人でよく利用するようになりました。
その日も夕食後によく行く日帰り温泉に夫と出かけました。
車で30分ぐらいの場所です。
当然、浴室では夫とは別行動ですが、一人で寂しいな、暇だな、と感じたことはほとんどありません。
むしろ、一人でゆっくり温泉に浸かって日常の疲れが癒されます。
この温泉は家族連れや友人同士での利用が多いようですが、お一人様も何人かいます。
そういう方は黙って静かに湯を楽しんでいることが多いですが、たまに世間話などが始まることもあります。
これも温泉でのちょっとした楽しみです。
その日もそんなおばさんが一人いました。
露天風呂に一人でいる私に、県外から観光で来たというおばさんが話しかけてきました。
優しそうで、ちょっと上品な感じがする好印象な方でした。
「どちらからですか?」
「温泉が好きでよく来るんです」
などと、他愛のない話を楽しんでいました。
一人で黙ってゆっくり過ごすのもいいけど、知らない人と出会って会話するのっていいものだなと、あらためて感じていたのですが...。
しばらく話をしていると、おばさんは個人的な質問をしてきました。
仕事は何か、結婚しているのか、などです。
そして、既婚者だと分かるとすぐに「お子さんは?」と尋ねてきました。
この質問は本当に嫌です。
私は2回流産し、不妊治療も受けましたが、結局子どもを授かることができなかったからです。
「子どもはいません」と短く答えると、おばさんの顔色が少し変わりました。
「やっぱり女性は子どもを持たないとね~~~~。一人前ではないわね」
何を言うかと思っていたら、ねっとり、嫌味っぽく言うではありませんか。
フレンドリーで上品な話し方だったおばさんが、急に何を言い出したのかと本当に驚きました。
同時に、激しい怒りのような悲しみのような何とも言えない気持ちが込みあがってきて、ザバッと湯しぶきが飛び散るぐらいの勢いで立ち上がり、何も言わずに露天風呂から出ました。
まあまあの勢いで立ち上がった私に、おばさんはちょっとびっくりした顔をしていました。
いま思えば何か反論すればよかったのかもしれませんが、あのときは勢いよく湯船から立ち上がることしかできませんでした。
露天風呂から内風呂への出入り口まで歩きながら、私は込み上げる怒りを必死で抑えました。
どうして知らないおばさんにあんな言い方をされないといけないのか、あんな失礼な人とは知らずに愛想よく話していた私自身にも腹が立つやら悲しいやら...。
待ち合わせ場所にいた夫にはこんな事があったと話すこともできず、行き場のない怒りを胸に秘めたまま家路につきました。
人気記事:《漫画》「結納金は空の封筒で良いかしら?」だと!? 結婚に水ばかり差す義母にイラッ<前編>
人気記事:《漫画》止まらない涙...10歳の私が「酒好きの父」を避けるようになった母の誕生日での出来事<前編>
人気記事:《漫画》同居して36年...100歳で亡くなった義母が言いふらし続けた嘘ばかりの「悪口」<前編>
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。