アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
皆さん「ママ友」はいらっしゃいますか? 私の長きにわたる人生の中の、色んなママたちのお話をしようと思います。
※登場人物はすべて仮名です
【前回】「通帳渡さんのやったら...」金目当てで介護をするママ友。思惑通りにいかなかった結果は
ヘルパーの資格を取りに行っている小山さんは、義親の介護を経験して本格的に介護を仕事にするつもりだと聞いた。
言うなれば、同じ事をしていても身内の介護はお金にはならないが、他人を介護すればお金になる事に気が付いた様子だった。
私も独身時代は病院の介護病棟での勤務もあったが、同じ事を身内にしても一円にもならないのは確かだ。
当時住んでいた地域の福祉センターなどで講習が開かれていて、ホームヘルパー3級ならば1週間ほどの講習で取得できたので、隣近所の主婦たちが大勢受講しに行っていた。
小山さんはほどなくして資格を取得したらしく、訪問介護の職に就いたと本人から聞かされた。
ある意味ママ友同士の中でセコイ事を続けるよりも、働きに行った方が健全だ。
小山さんは週に3日ほど勤務しているらしく、取得した資格の関係上、彼女の仕事内容は身体介助などの「介護」ではなく、掃除・洗濯・炊事の生活支援だった。(※現在、ホームヘルパー3級は資格制度改定に伴い廃止。2018年からは「生活援助従事者研修」という新しい資格に変わりました)
けれども外で働くとなったら大変な事も多いだろうと思っていたが、久しぶりに井戸端会議に参加しに来た小山さんはイキイキしていた。
小山さんは私たちに、訪問先の話を事細かく説明した。
一緒に聞いていたママ友たちは興味津々の顔つきだったが、私は違った思いが頭を埋め尽くそうとしていた。
(守秘義務ってないの??)
訪問先の家が戸建てかマンションかとか、ご利用者さんのお体の状態や病状がどうとか、それこそ家族構成にお金の置き場所や家の中の荒れた状態などを、私たちに「聞いて♪聞いて♪」のノリで小山さんは喋る。
「こんなひどい(汚い)家があった」だの、「あんな事もこんな事も出来へんのに一人暮らししとんねん」など、(いや、ほんまに守秘義務はないんか!?)と、聞いている私がドキドキしてくるほどだった。(※介護福祉士に守秘義務はあります。業務に関して知り得た利用者の個人情報などの秘密は他人に漏らしたり、利用者のプライベートの情報を本人の許可なく他者に話してはいけません。秘密保持義務とも言います)
その場にいたママさん達は気が付いていないのか気にならないのか、小山さんの喋る内容に引き込まれて行くようだった。
ある意味自分の親が小山さんにお世話になるとして、いくら本人とは見ず知らずの相手とは言っても、こうもペラペラと色んな人に喋られていたらと思うとめまいがしそうだった。
「今行ってる人は足が不自由で、軽く物忘れも多くてさぁ~」
小山さんの話をこのまま聞き続けると、何やら自分まで悪い事をしているような気になってきたので、早々に切り上げて退散する事にした。
「じゃあ、ちょっとお先に失礼するわね...」
そう言った瞬間だった。
「ヘルパーするようになって食費が助かる♪助かる♪」
小山さんがガハハと笑い声をあげて自慢げに話しだした言葉に耳を疑った。
ん?食費が助かる? それは働いて給料が貰えるようになったからって事??
小山さんは続ける。
「ほら、うちって4人家族やから、1人前の料理って作りなれてへんやん?肉じゃがなんかも1人前なんて作っても美味し無いやん?そやから鍋いっぱいに作るんやけど、『こんなにいっぱい食べられへんから、残りは持って帰って』って言われるねん♪だから行くたんびに容器持って行って、1人前盛りつけた残りは持って帰ってんねん♪」
イキイキと笑顔で喋る小山さんの表情とは逆に、聞いているママ友たちの表情が見る見るうちに変わっていった。
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