皆様こんにちは、『ぼっちシニアの幸せ探し貯金日記』の管理人"くるぴた"です。
ここでは昔、結婚生活中に起こった「おいおい、ちょっと待て」と思うような出来事などを中心に書いていきます。
【前回】心の底から結婚したことを後悔。夫が泥酔した挙句、実家で「信じられない失態」を
膵臓がんに罹った私の母は、結局2カ月の闘病の末に亡くなりました。
がんが見つかってから最期までが、あっという間だったので、信じられない気持ちで一杯でしたが......
弟達が地元の親戚に連絡をする傍らで、私は元夫に電話を掛けました。
私が涙声で 「今ね、お母さんが死んだの」 と伝えると、元夫は「そうか、わかった」とだけ答えましたが、その口調が妙に明るくて気になりました。
私にとっては母親を看取る2カ月でしたが、元夫にとっては家事の担い手がいない2カ月です。
裏にやっと終わったか、やれやれだのようなニュアンスが見え隠れするような感じで......
私の考え過ぎかもと思ったのですが。
それはともかくとして、たまたまその時葬儀屋さんの端都合で母の葬儀はなくなってから5日後に決まりました。
しばらくの間は自宅に安置することになります。
居間を片付けて、客用の布団を敷き、母を寝かせました。
母の枕元には生後6カ月の実家の猫が寄り添っていました。
もともと掲示板の猫譲りますというのを見た弟が引き取ってきた猫で、母と一緒にいたのは多分3カ月くらいでしょうか。
2カ月の入院から戻った母がどういう状態なのか、知ってか知らずか片時も離れませんでした。
この猫はのちのち私が引き取ることになります。
元夫が私の実家に着いたのは、葬儀の前日。
仕事があるためあまり時間が取れず、前日にこちらへ来て一泊し、葬儀が終わったら、すぐに帰宅すると言っていました。
「この度はご愁傷様でした」
元夫は、住所録を前に電話する下の弟が手を休めた時、そう声を掛けました。
下の弟は、前回夫が家に来たときに母の布団におねしょをした失態を見ていましたが、特にそのことには触れず、通り一遍の対応をしていました。
入院中の母の付き添いに関しては、ほとんど私が1人でやり疲れていたので、葬儀の手配や打ち合わせに関しては弟2人に任せました。
ずっと地元を離れていた私より、親戚についても葬儀社やお寺についても、弟達の方が詳しかったですし......
その代わり、通夜、葬儀場の一室に母のお棺を安置して、そこに泊まる役を引き受けました。
小さい釣竿の先にぶら下がった、蚊取り線香を細くしたような線香の火を、一晩絶やさないようにする役目を引き受けたのです。
その時、元夫は 「だったら俺もここで線香を見守るから、交代で寝よう」 と言ってくれました。
その夜はコンビニで弁当とお茶やお酒などを買って、下の弟と私と夫の3人で母の棺を安置した部屋で夕食をとり、それぞれ最近の近況などを話しました。
母の布団でおねしょをした件に関して誰も触れずにいたら、元夫も気分良く話ができたようです。
ただその分、お酒の量も進んでいるのが、少し気になりましたが......
時間が経ち、弟が猫の世話のため自宅に帰るのを見計って、私は線香に火を灯し、台に載せました。
その間、元夫はまだ残っていた缶ビールなどを飲みながら、自分がこの2カ月、一人暮らしをした苦労話のようなものをずっとしていました。
「これで君が札幌に帰れる、ようやくその日々が終わったよ、ホッとした」と話す酔っ払いの言葉を相槌を打ちながら適当に流し、虚無感で一杯になりながら線香の火と煙を眺めていました。
その部屋は故人を安置する場所なので、テレビもラジオもない、静かな部屋です。
元夫は1度トイレに行った後「ちょっと横になりたい」と言い、部屋に置いてあった厚みのある座布団を2つに折ると枕にし、他の座布団を2枚、縦に並べてそこで横になりました。
それは、まあ構わないのですが......
四畳半くらいの狭い部屋で、棺桶とテーブル、普通の布団1組があって、余分なスペースなどありません。
元夫が座布団を並べたのは、母の棺の真横。
まるで添い寝するかのような場所です。
そこで寝るなら、テーブルを部屋の端に寄せて、普通の布団を敷くのに...... 棺桶に並んでいびきをかき始めた元夫を見ながら、なんだかちょっと情けないような気持ちになりました。
もうすでに亡骸ではあるけれど、母はこの様子を見てどう思ったでしょうか。
そして、元夫のぐにゃっとした寝姿を見ているうちに、ふと、まさかここでも粗相をしたりしないか、心配になってきました。
今回は寝る前に一度トイレに行っているから、そこまで心配は無いのではと思いつつも、気になります。
そうなると、線香の火を絶やす以前に、眠気が飛んでいってしまいました。
元夫の方は、全く途中で起きる様子もなく、そのまま朝まで熟睡。
本来だったら元夫が線香の見張りを交代してくれなかったことに対して、怒るべきだったのかもしれません。
でもこの時は何よりも、座布団を汚さずに済んで安心した気持ちの方がずっと大きく、怒りも何も忘れてしまったのでした。
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