皆様こんにちは、『ぼっちシニアの幸せ探し貯金日記』の管理人"くるぴた"です。
ここでは昔、結婚生活中に起こった「おいおい、ちょっと待て」と思うような出来事などを中心に書いていきます。
【前回】「本当に大事にされてる?」同棲中の私に母が一言。浮気夫の正体を見抜いた理由は...
私の母は70歳の時、膵臓がんで亡くなりました。
病気が見つかったとき、すでに余命2カ月の状態で、手の施しようがありませんでした。
当時は夫と入籍して1年ほど経った頃。
しかし残り2カ月、母の付き添いをするため1人で帰省したのです。
母の付き添いをしたいと夫に相談した時は、特に反対もされずに送り出してもらったので、当時は感謝したものです。
実際に付き添いが始まると、末期がんの闘病は凄まじいものでした。
抗がん剤の副作用で、母は1日ごとにどんどん認知症のような症状が進んでいき、こちらも精神的に疲弊していきました。
そして母の入院から1カ月ほどして、夫が自分も一度母に挨拶をしておきたいと、こちらに来ることになったのです。
まだギリギリ言葉が通じる状態で面会できたのは良かったと思います。
母に最後の挨拶をした後、私と夫、私の弟2人の計4人で食事をしました。
夫は一人暮らしがしばらく続いていたせいか、妙に気分が高揚していた様子でした。
あまり深酒しないようにと声を掛けたけれど、結構な量のお酒を飲んでいたようです。
タクシーを降りた時、夫はフラフラの千鳥足。
完全に泥酔していました。
仏間の押し入れには布団が2組入っています。
片方はお客さん用で、もう片方は母の布団。
夫は客用の物で寝かせるつもりで、私は布団を敷いたのですが......
夫は母の布団に倒れ込むようにして横になり、すぐイビキをかき始めたのです。
上着だけは脱いでいたものの、まだ着替えてもいない、スーツ姿のままなのに。
慌てて起こそうにも、まるで起きる気配がありません。
細身とはいえ、私より20cm上身長が高い夫。
しかも酔って脱力して、全身がグニャグニャ。
動かそうにも動きません。
まあ、一晩だけだと思って諦め、夫の身体に布団を掛けると自分も寝支度をし、隣に敷いた客用の布団に入りました。
そして、翌朝。
ふと気が付くと、夫が隣に寝ていません。
もう起きたのかな......と、寝起きのぼんやりとした頭で考えていると、頭の右上方向に人の気配を感じました。
見ると、夫が無表情で胡座をかいています。
何だろうと思い、目が覚めてきて、ようやく布団の異常に気が付きました。
思わず立ち上がって両方の掛け布団をめくると......
母の敷布団に、直径70cm程の大きなシミがありました。
そしてそれは私が寝ていた客用の布団まで浸水していたのです。
うつむいて黙っている夫に目を向けると、スーツのズボンの股間から太腿の辺りまで湿っていました。
これまでも泥酔しておねしょすることが度々あった夫ですが、まさか、私の実家でやらかすとは!
しかも余命いくばくもない母の布団で......
アンモニア臭が漂う部屋で、しばらく途方に暮れました。
だけどいつまでもそのままではいられません。
濡れた布団のシーツを剥がして洗い、下の弟に事情を話し、手伝ってもらって布団とマットレスをベランダ迄で運び、干しました。
夫はといえば、無言でリビングで棒立ちしているだけ。
何でも一泊だけの予定で来ていて、着替えは持っていないとのことでした。
「弟にジャージでも何でもいいから服を借りるから、着替えて帰って」
私が夫にそう促したけれど、本人は頑として着替えをせず
「ドライヤーはあるか? このまま立ってるから、ズボンを乾かしてくれ」
と言い出しました。
いや、乾かしたって、シミと臭いは抜けません。
しかも自分は突っ立ったままで、人にズボンを乾かせと......?
弟は無言になり、私も呆れてものも言えませんでしたが、もうこれ以上ここにいて欲しくありません。
言われた通りドライヤーの風をズボンに当て、乾き次第帰ってもらいました。
あの状態で飛行機や電車に乗ってどうだったのかは、今も分かりません。
その後、母の布団は毎日干して何とか乾いたものの、臭いがどうしても取れませんでした。
せめて布団のクリーニングがあれば良かったのですが、20年以上前のうちの田舎にそんな物はなく......
弟に聞くと、布団は母が通販で購入した大のお気に入りだとのことで、余計に気が重くなりました。
そのうち病院の先生から、一度母を帰宅させようという話が出ました。
最後に思い残しがないように、ということなのでしょう。
母は自分から言葉を発することはできないけれど、人の話は辛うじて理解できるという状態。
お気に入りの布団の件を、本人に何と説明したらいいのか、ずっと迷っていましたが......
一時退院する予定の数日前、母は容体が急変し、亡くなってしまいました。
とてもショックでしたが、例の件を知らずに旅立ったことだけは、不幸中の幸いだったかもしれません。
それと同時に、夫と結婚したことを心底後悔したのでした。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。