<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:2人の子どもを独立させた61歳の地方公務員の男性です。盆、暮れ、正月は家族団らんの貴重な機会となりました。
「ああ、パパ。俺さ、今度の正月帰れないから...」
隣県で食品会社に勤めている息子(25歳)から突然の電話があったのは、2022年の11月末のことでした。
隣県住まいなので、ちょっとした連休などにも帰省してくる息子なので、正月だからといってそれほど貴重な機会というわけではありません。
しかし、そのときは「分かった」とは言えない理由がありました。
「え? さち(娘・28歳・息子の姉)も帰ってきて、家族が揃う貴重な機会なんだぞ...」
娘は関東で中学校の教師をしているので、文字通り盆、暮れ、正月ぐらいしか帰省できません。
息子が就職して、いきなりのコロナ禍だったので、会うことさえままならなかった時期もあり、家族が全員揃うのはここ数年でも数えるほどです。
「うーん、ちょっと忙しくてね...」
「なんとかならないのか? さちの誕生日の祝いもしてやりたいし...」
「ほんと申し訳ない! 抜き差しならない事情ってやつでさ、じゃ、ごめん!」
「抜き差しならないって...え? おい、もしも~し...って、切りやがった」
どんな事情かはっきりしないままの電話でしたので、いろいろと憶測が頭をめぐります。
「(息子が)正月に帰ってこないって初めてだぞ」
「なにか仕事でミスったとか?」
妻(58歳)も心配そうな顔で返してきました。
「まだ1カ月以上もあるのに、もう片付け仕事の予約だなんて、ありか?」
「そうよねえ、そこまで引っ張る必要ないものねえ、年始の緊急営業とか?」
「正月早々に営業かけるなんて、取引先に嫌われるだけだろ」
「確かに...じゃあ、もしかして...デート? 彼女ができたとか?」
しばらく夫婦で顔を見合わせましたが、この点での結論はぴったり一致しました。
「それは...ないな!」
数日経って、今度は娘から電話が入りました。
「ああ、あのさあ、やっぱり年末いっぱいまでビッチリで...やっぱり28日は過ぎそうだわ、帰るの」
「まあ、仕事じゃしょうがないよ。なるべく早く帰ってきてほしいけどな、誕生日のケーキも予約済みだし」
「やったあ!...って言っても誕生日がうれしい歳でもなくなってきたけどね」
「それでもやっぱり家族で祝いたいじゃないか...と言いたいところだが、いや、残念なんだけどな...」
と言いかけると、娘が呆れた調子でかぶせてきました。
「はるたか(息子の名前)でしょ! あいつ、ふざけてるよね」
すでに何のことか知っていて、事情もわかっているようなので驚いて聞き返しました。
「聞いてるのか?」
「年越しサバゲーって、何よそれって感じ!」
「年越しサバゲー!?」
息子は姉に理由を話していたらしく、趣味のサバイバルゲームの年越しイベントに参加するつもりとのこと。
それで帰省しないなんて...。
「俺には『抜き差しならない事』って言ってたぞ」
「『ふざけんな』って怒られると思ったんじゃない? お父さんに言ったらさ...」
家族よりも大事なイベントということなのでしょうか。
こればかりは本人の考えによるものなので、なんとも言えません。
「...ある意味、安心したわ。困り事じゃなくってさ」
娘との電話を切って、妻に事情を話すと、呆れつつも少し安心した様子。
ちゃんと理由を言ってもらえなかったことも含めて、すでに成人した息子の行動に、少し頭が痛くなった出来事でした。
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