<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ぴっぴ
性別:女性
年齢:43
プロフィール:小学生高学年と低学年の2人の子どもを持つパート主婦です。
今から5年程前のことです。
自転車に乗って子どもを習い事へ送り届けた私は、迎えまでの待ち時間、ふらふらと駅前を歩いていました。
時刻は午後3時くらい、駅前は学校帰りの学生やシニア世代の方が多く行きかっていました。
私の向かいからシニアの女性(70代後半ぐらい)が歩いてきました。
その方は歩道のタイルの小さな段差に引っ掛かったのか、突然転倒!
手や腕で体を守ることができず、地面に頭をしたたかに打ち付けてしまったのです。
少し遠目からでも分かるくらいダラダラと流血...私はビックリして駆け寄って「大丈夫ですか⁉」と声をかけました。
周りの人たちはザワザワと様子を見ています。
女性は「大丈夫...で...す」と返事してくれましたが、顔色は悪く、血が流れ続けています。
これはどう見ても大丈夫そうじゃない...!
そう思った私は、持っていたスマホで119番に電話をかけ、救急車を要請しました。
すぐに電話はつながり、
「火事ですか? 救急ですか?」
「救急です!」
とやり取りしていると、周囲の人混みの中から「私、看護師です!」と名乗り出てくれた方がいました。
その方は女性の止血をしてくれて、電話で状況を聞かれる私に、
「止血をしていますが出血が多いので、病院へ搬送してほしいと伝えてください!」
と指示してくれました。
救急車が到着するまでの間も看護師さんがリードし、介抱してくれました。
「タオルありますか?」
と聞かれ、幸いにも清潔なタオルを持ち歩いていた私は、それで止血をしました。
倒れた女性は「すみません...すみません...、タオル買って返し...ます...」と真っ青な顔をしながら言います。
「そんな! 大丈夫ですよ! 痛いですよね? もうすぐ救急車がきますから安心してくださいね」
そう励ましながら救急車を待ちました。
なんとか意識を保っている中、ようやく救急車が到着し、救急隊員さんがテキパキ手当をして女性を担架に乗せてくれました。
女性は自分の名前も伝えることができていたので、ご家族と連絡が取れると安心しました。
救急隊員さんから「同乗しますか?」と聞かれたのですが、私は子どものお迎えの時間が迫っていたので見送ることにしました。
看護師さんも同じく、同乗はしないとのことでした。
そのとき、倒れた女性が「あの人たちに助けてもらったから、お礼をしたいから名前を...」と救急隊員さんに伝えていました。
でも、私も看護師さんも「そんな! お気になさらず!」と断って、出発する救急車を見送ったのでした。
それから1カ月程後のこと、その駅前を歩いていたら、女性が倒れた場所にある花壇のところに手書きの張り紙がありました。
「○月○日午後3時頃、ここで転んで救急車で運ばれた者です。あのとき介抱してくださった2名の女性の方、ありがとうございました」
「大事に至らず、無事退院いたしました。ご連絡先が分からないためこのような形で恐縮でございます。本当にありがとうございました」
あのときの方だ! と驚きました。
無事でよかったと思うとともに、このような形でお礼を伝えてくれるなんて...と、胸がいっぱいになりました。
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