<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女性
年齢:54
プロフィール:アラフィフ兼業主婦。外食大好きで、中華よりもフレンチ派です。
54歳の兼業主婦です。
先日、私と夫(55歳)で食事に出かけたときの話です。
結婚記念日が近かったので、何度か訪れたことのある有名なフレンチのお店に予約して伺うことにしました。
ドレスコードはあるのですが比較的気軽に入れるお店で、スタッフの方の感じも良く、私たち夫婦は気に入ってました。
しかしその日、食事をしていると私たちの斜め前の席に座っていた20代くらいのカップルが「何あれ貧乏くさい」とひそひそと言っているのが聞こえてきました。
何事かとちょっと注意していると、私たちのちょうど後ろの席に座っていた、70代くらいの夫婦のことを話していたようです。
その夫婦はあまりフレンチに慣れていないようで、ナイフやフォークの使い方などのマナーに戸惑っているようでした。
若いカップルはその不慣れな様子を見て笑っているようでした。
しかし、その夫婦は料理が運ばれた際に、どのカトラリーを使えばいいのかスタッフの方に尋ねているだけ。
それなのに、
「あんなのいちいち聞くなんて、店の人の迷惑になってるの気が付いてないのかしら?」
「そのうち手で食べだすんじゃないか?」と言っているのです。
そのことに気がついた夫婦も気まずそうにしていました。
私たちも若いカップルの言葉が気になって食事を楽しめずにいたのですが、そんなとき、オーナーシェフが「お味はどうですか?」と話しかけたのです。
「美味しいです。でもマナーがあまり分からなくて」
申し訳なさそうに答える夫婦に、オーナーシェフはにっこり笑って言いました。
「『美味しい』というそのお言葉だけで私は十分嬉しいです。食事はマナーよりも、どんな人とどんな会話を交わしながら楽しむかが大事です」
「お食事を楽しんでくださいね」
そう言ってお箸を手渡したのです。
私は「なんて素晴らしい気配りだろう」と感動してしまいました。
きっとスタッフの方が、あの夫婦と若いカップルのことをオーナーシェフに伝えたのでしう。
オーナーシェフは、自分が出ていくことで「マナーは気にしなくていいですよ」という安心感を与え、若いカップルにそれ以上言わせないようにしたのだと思いました。
夫婦はお箸を使って楽しそうに食事していましたし、若いカップルも気まずかったのか、食事もそこそこに退店しました。
私たち夫婦もほっこりとして、笑顔で食事を楽しむことができました。
「また来たいね」と、さきほどの夫婦が最後に話しているのを聞いて、私も夫に「私たちもまたこの店に来ようね」と笑顔で言った出来事でした。
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