<この体験記を書いた人>
ペンネーム:なんとも
性別:女性
年齢:54
プロフィール:私+夫+高3長男+高1長女の4人家族。長男は18歳を迎え、晴れて選挙権を手にしましたが、本人はキョトーン。
54歳の専業主婦です。
18年前、新生児だった長男のお世話でバタバタしていた頃の話です。
自宅で夫(私と同い年)と共に、敷地内の別棟に住む義両親(当時60代前半)に協力してもらいながら、育児に奮闘していました。
疲れ果てていた私を見かねて、義母が「ウチの空いてる部屋で育児すれば? できることは手伝うから」と提案してくれたので、産後1カ月くらいまでは親子で義両親宅に住まわせてもらっていました。
そんなある日の昼下がり。
「ごめーんくーださぁい!」
睡眠不足でウトウトしていた私は、玄関から飛んできた素っ頓狂な声で目が覚めました。
誰だろうと思いつつ玄関へ出てみたら、義母と同年代位の小柄な女性が立っていました。
「あ...あのぉ...どちら様で...?」
「ええっ? 聞いてない? 私よ! F田A子! ここの義母さんの同級生なの! アナタお嫁さんでしょ、覚えといてね! で、赤ちゃんは?」
その女性は、物凄い勢いで義母宅に上がりこみ、私たちが寝泊りしている部屋にズカズカ入り込んできました。
「ここだったんだぁ! 赤ちゃん!」
そう言って部屋に押し入り、布団で寝ていた長男を抱き上げました。
長男を満面の笑みで抱っこするものの、いきなり起こされた長男はぐずり始めました。
「あらあー、ご機嫌悪いでちゅね! ママさん、ほらほら!」
女性はビービー泣いてる長男を私に押し付けました。
「ここの義母さんからね、赤ちゃんが誕生したからいつでも見にきてねって言われたから来てあげたのよ!」
「あ、それはわざわざ...ありがとうございます。義母は今、出かけてまして...」
「いいのよ! 赤ちゃん見に来ただけだから! ...ん?」
女性は長男が寝ていた布団に目をやって言いました。
「アナタ! 赤ちゃんの寝床、北枕じゃないの! ダメダメ~! 直しといてあげる!」
「...あ」
私はとっさに言葉が出ず、勝手に布団の向きを変えられてしまいました。
勝手に変えられてかなりモヤモヤしましたが、義母の友人なので「どうも」としか言えませんでした。
「じゃっ、子育て頑張るのよ! 分からないことがあったら、なんでも私に聞いてね!」
女性はそんな言葉を残しけたたましく去っていきました。
どうでもいいことですが、手ぶらでの訪問でした。
「...なんだろ、あの人?」
帰宅した義母に、F田A子という女性のことを話したら「ええ?」とびっくりしていました。
「だって、同級生でお友だちなんでしょ?」
「確かに、中学の同級生だけど...」
義母が言うには、クラスは3年間一緒だったけど、特別仲が良いワケでもなかったそうです。
私がこの家に嫁ぐ前に、通販の営業勧誘で一度だけ来たことがあったそうですが...そのときは3時間も居座っていたとのこと。
元営業ウーマンだったのも頷ける押しの強さでした。
A子はもともと、県外に住んでいる長男家族と同居していましたが、長男のお嫁さんと大ゲンカして同居解消となり、最近になってここの町内に住む長女家族の家に居候させてもらっているとのこと。
「少し前に参加した同窓会でね、『ウチにも孫が生まれるのよ』と近況を話しただけなのに、まさか押しかけてくるなんて...」
義母も本当にビックリしていました。
「A子さん『分からないことがあったら、なんでも私に聞いてね!』って言ってたけど、また来るのかなぁ...」
「それにしても、大変だったわねぇ...」
義母はため息をつきました。
義母の顔色で、どういった交友関係だったのか、なんとなく想像できてしまいました。
お嫁さんと大ゲンカしてしまったのも無理はないでしょう。
それからというもの、玄関から「ごめんください」と聞くたびにビクっとしましたが、あれからA子が現れることはありませんでした。
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