<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みわちゃん
性別:女性
年齢:61
プロフィール:お互いに思いやることのできるきょうだいがうらやましいなぁ、とつくづく思います。
私には4歳下の弟がいます。
母親に甘やかされて育てられたせいもありますが、人の気持ちを考えない自己中心的で嫌なやつです。
ただ、たった一つだけ「頑張ったじゃないの」ということがあります。
今から50年ほど前のことです。
小学1年生だった弟は、一冬をランニングシャツ一枚で通しました。
もちろん、ズボンは半ズボンです。
理由は、当時の担任の先生(40代)が「おい、この冬をずーっと半袖で通したら、チョコレートをやるぞ」と言い、その言葉に弟は踊らされたからです。
それからというもの、弟は寒空の下でも半袖どころかランニングシャツ一枚だけ。
当時住んでいた地域では、雪はめったに降りませんが、空っ風と言われる冷たい風が吹きます。
手足は思いっきり冷えますので、しもやけになることもよくありました。
弟はややぽっちゃり型の体型で、脂肪分でカバーできていたのかもしれません。
それでも外気は0度前後。
普通なら「寒い寒い!」と体をさすったり、首をすぼめたり、マフラーや手袋は欠かせない状況です。
雨でも降ればさらに冷えます。
ですが、弟はどんな天候にも臆することなく、平気な顔で出かけていました。
痩せ我慢していたのでしょう。
家に帰ればストーブで暖を取り、こたつにも入っていました。
でも、朝になれば普通に起き上がり、朝食をバクバク食べ、ランニングと半ズボンで出かけるのです。
それはすべてチョコレートのため。
当時、弟と一緒に外出をすると、見ず知らずの人から「寒くないの?」とよく声をかけられました。
今ならランニングシャツもおしゃれなデザインのものがありますが、当時はシャツの色は単色、色の種類もわずかでした。
冬に見るランニングシャツ姿は、見るからにみすぼらしく思えました。
また、ややぽっちゃり体型のためランニングシャツが少し伸びており、さらにだらしなく見えました。
事情を知らない人から見れば「お家が貧乏なのかもしれない」と思われていたはず...。
結局、弟は無事に一冬をランニングシャツで通しました。
迎えた一年生の終業式の日、弟は担任の先生から板チョコ一枚をもらい、喜び勇んで帰ってきました。
そのときの弟の達成感に満ちた、うれしそうな顔は忘れられません。
ただ、もらったチョコはとっても薄っぺらかった!
「先生、もう少し分厚いものをあげてもいいんじゃない?」と思ったことを覚えています。
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