アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
皆さん「ママ友」はいらっしゃいますか? 私の長きにわたる人生の中の、色んなママたちのお話をしようと思います。
※登場人物はすべて仮名です
【前回】PTA活動で無断欠席を繰り返す「問題児」。PTA役員が家に押しかけ...怒号飛び交うトラブルに/かづ
子どもに関する組織と言えば「子ども会」がある。
私の住んでいる地域にも子ども会があって、基本全ての子どもが加入していた。
私が加入した当時、会長をはじめ役員は高学年の親がしていて、小規模PTAような感じだった。
当時は子どもの数がものすごく多くて、行事も運動会にハイキング、バーベキューや焼きそばパーティーにクリスマス会、地域のお祭りではお店を出したりしていた。
PTAと違うのは子どもの行事の後には必ず大人だけの打ち上げがあり、時には居酒屋を貸し切ってドンチャンなんて言うのもあった。
そのせいか皆仲が良く、高学年の親たちが低学年の親に気遣ってくれているのがとても居心地がよかった。
色んな所で役員や委員をしていた私は、低学年であったり新入りや若い方に対して雑用を押し付けたり、会社組織の部下のような扱いをする人がいるのをよく目にしていたので、この子ども会がとても楽しかった。
それでもやはり人数が多くなればなるほど、助かることも多い分、困ったことも起こるのだ。
ある年のクリスマス会の打ち合わせでのこと。
役員たちがサンタやトナカイ、雪だるまに仮装し、ゲームで盛り上げてケーキとチキンを食べ、プチプレゼントをもらって帰るという内容に決まった。
決まったというか、毎年同じ内容なので誰からも異論は出なかった。
子ども会の運営費は地域の廃品回収と市からの助成金で賄われていて、足りないどころか毎年繰越金が増えていて、それこそ100万円以上あったから子ども会費は無料だった。
それもこれも長年続けて来たからこそだろう。
クリスマス会の最終打ち合わせで集まった際に、新しく越してきた方が子ども会にも加入したと紹介された。
それが小山さんだった。
小山さんはうちの息子とも同じ学年で同じクラスになり、行きも帰りも同じだからとすぐに仲良くなった。
子ども会の集まりにも役員でもないのに参加してくれて、とても協力的だったので良い人が入ってよかったねと皆が思った。
私は役員が着る着ぐるみを作る担当だったので、最終打ち合わせではデザインなどを確認した。
飲み物の注文は近所の酒屋に頼み、ケーキは当時出来たばかりのケーキ屋さんが100円ケーキを作ってくれると言うのでそこにすることに。
プチプレゼントはチョコやクッキーの大袋をばらして、1人100円程度になるようにパッキングすると決まる。
毎年50人くらいの子どもが参加するので準備だけでも大変だが、前日の夕方に集会所に集まって詰めることになった。
まぁ、全て「例年通り」なので何の問題も無く決まる。
そしてこれまた「例年通り」、チキンの予約を近所のから揚げ屋さんにお願いすることを報告したら、そこで待ったがかかった。
小山さんだった。
「うちの子は2人とも鶏肉が嫌いなんで、鶏以外にしてもらえますか?」
は???
その場にいた全員の動きがピタリと止まった。
クリスマスに鶏以外???
そりゃあクリスマスと言えども、鶏肉がダメな人からすればいつ何時でもダメはダメなんだろう。
それは分かるが、「うちの子が嫌い」と言う個人的な理由で?
小山さんは続ける。
「せっかく楽しいパーティーなのに、食べられへんもんをもらったって楽しくないですやん? うちの子だけ食べられへんもん貰っても、可哀想ですやん。みんなが美味しそうに食べてる中、うちの子2人分だけ別のもんにしてもらえます?」
それには先輩役員たちが意見をし出した。
「2人だけ別のもんにしたら『そっちの方がよかった!』って文句が出たり、『自分もそっちが欲しい!』ってなったらから困るから、みんな一緒のもんにしてるんよ」
「そしたらうちの子2人だけ食べられへんもんもらって、そこで食べんと座ってろってことですか!?」
小山さんも譲らない。
「そしたらチキンを食べる時には2人分渡すんで持ち帰ったら? プチプレゼントもその時渡したらええんとちゃうの?」
うんうん、チキンは親が食べたらいい。
「えっ!? うちらに早よ帰れってことですか!? 友達と一緒に最後までいたいに決まってるでしょ!」
もう小山さんは止まらない。
「それにケーキですけど! それってバタークリームですよね! うちの子ケーキって言えば生クリームしか食べたことが無いんで、生クリームにしてもらえます? バタークリームのケーキなんて気持ち悪くないですか?」
今度はケーキか...。
私は子ども会ではまだ新参者の立場なので黙っていたが、子ども会としてどう対応するのかハラハラした。
これがPTAだったら「じゃあ別の物を...」なんてことになったかも知れない。
が、そこはPTAとは違った。
「じゃあ参加されなかったらええんやないですか?」
えっ? それ言っちゃっていいの?
私は他の方の顔を見渡したが、皆の顔からイライラが漂っている。
小山さんは驚きを隠せない表情だった。
まさか「来なかったらいい」などと言われるとは思ってもいなかったんだろう。
私もその判断が出来るのにびっくりした。
「私らはみんなボランティアでやってるんやわ。義務でやってるんやないし仕事でもないんです。ケーキにしろチキンにしろ、何年もこの内容でやってきたんですよ。この内容で嫌なら、参加しなかったらええんとちゃいます? 参加するのは義務やないんやから!」
小山さんは顔を真っ赤にして、怒りで震えながらバタバタと帰って行った。
皆はホッとしたのか、大きくため息をつく人もいた。
私は恐る恐る先輩役員に「あんなこと言っちゃっていいんですか?」と聞いた。
すると、明るくあっさりとこう言った。
「だって、私らボランティアやん? 50人分用意してイベントするだけでも大変やのに、自分の子が鶏肉アカンから他のもんにしてくれなんて、図々し過ぎてびっくりしてもたわ! 自分で買いに行けって話やわ! 別に私ら雇われてる訳やないからね」
なんかすごく圧倒されて胸がスカッとしてきた。
「生クリームしか食べたことないだの、バタークリームが気持ち悪いだのって。いったい1人いくらでやりくりしてるか知らんのとちゃうの? 生クリームにしたら1個50円以上経費掛かんねんで! バタークリームが気に入らんのやったら、せいぜいお家で美味しい生クリームのケーキを食べさせてあげたらええやん。ここに参加することなく!」
口々に小山さんへの怒りが噴出。
あぁ、当日チキンに変わる物を自分で持参して「ごめんね。うちの子チキン苦手なんやわ。でもこれは私ら親が食べるからね」とでも言えばいいのに。
そしてケーキはそのまま持って帰って、子どもらには家で生クリームのケーキを食べさせればいいのに。
なんでこう家庭のMYルールを押し通そうとするのかね?
けれども我が家と小山家の付き合いは、今後も幾度となく続くのだった。
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