<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ころちゃん
性別:男性
年齢:55
プロフィール:最近老眼が進み、スマホやパソコンを見る時、近視用の眼鏡をかけたり外したり忙しい毎日です。
現在55歳の私が、30代半ばの頃に勤めていた学習塾での話です。
当時、複数の支部校を持つ中堅塾でしたが、少子化の流れの中、規模の縮小を余儀なくされていました。
そんな時期に配置転換があり、40代半ばの塾長が私たちの校舎に週に数回、授業に来ることになりました。
塾長とはいえ、零細企業ですから堅苦しさのない関係です。
ただ、彼がヘビースモーカーで、飲酒に関しても自分を律することのできない人だとは聞いていました。
当時、私たちの校舎では、私と同年齢で喫煙者の校長が「校舎内は禁煙」とルールを定め、みんなでそれを守っていました。
当然、塾長もそれに従ってくれると思いきや...。
塾長赴任の初日、禁煙ルールを伝えたところから不穏な空気が漂いました。
「はあ、禁煙? そんなん誰が勝手に決めた?」
「別に生徒がいない所だったらええやろ?」
真向から反対されたのです。
反論されるとは思っていなかった校長は言葉を失ってしまいました。
それでも社会的に禁煙ムードですし、講師は子どもたちに接する仕事です。
校長自ら禁煙ルールを定めた経緯を丁寧に説明し、校舎のクリーンな雰囲気を保つためにも「塾長も協力してください」と頼みました。
塾長はしぶしぶ了承しましたが、不満なのは明白でした。
それから塾長は、頻度は多いとはいえ、他の社員と同じように勤務の合間を縫って喫煙場に出かけていました。
しかし、ある日のことです。
生徒たちから「塾長、さぼって煙草吸いに出てた」と聞きました。
彼が授業中に抜け出して喫煙していることを知り、私たちは慌てました。
こんなことが保護者の耳に入ったら大変です。
私たちはみんなで塾長にお願いしました。
「授業中の喫煙はやめてもらえないでしょうか」
「俺は生徒の成績を上げるだけの授業をしている。何の文句があるんや」
まるで私たちが因縁をつけているかのような言い方です。
「お前ら、規則、規則って、自分たちがどれだけ生徒の成績を上げてるんや?」
「塾の仕事は生徒の成績を上げること。お前らの論点はずれてる」
私たちは絶句しましたが、授業中の喫煙が保護者に伝わると印象はよくないはずです。
「そんなことで苦情が出るとしたら、お前らが保護者の信頼を得ていない証拠。へらへら弱腰で機嫌ばかりとってるからそんなことになる」
話の通じる相手ではないと痛感しましたが、それでも校長が粘り強く説得し、授業中の喫煙だけはやめるよう約束をとりつけました。
そして授業中以外は、思う存分喫煙できる権利も与えました。
「俺にはな、どうしても煙草が必要なんや」
あたかも一流の芸術家やアスリートの様相で言った塾長ですが、格好良さは微塵もなく、彼の授業も目を見張るほどではありませんでした。
ちなみに塾長は離婚し、慰謝料で首が回らないとこぼしていましたが、そうなったのも頷けるような気がしました。
そんな傍若無人な塾長でしたが、天罰と言うと言い過ぎかもしれませんが、程なくして病に倒れ、入院することになりました。
代わりに20代半ばの講師が入ってきて、技量は未熟でしたが、人間的には塾長より遥かにましでした。
塾長が引っかき回した後始末に忙しく、講師たちは誰も見舞いに行けませんでしたが、幹部を通して入ってきた情報によると、もはや働けない状態で退職を余儀なくされたとのこと。
気の毒ではありますが、同情の声一つなかったのはまさに自業自得でしょう。
風の頼りで耳にしましたが、彼はその後どこかで働いていたものの、60歳にも至らずお亡くなりになったそうです。
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