親しい人の香典を惜しむ母...真顔の母を見て、娘として感じたこと

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:みけ
性別:女性
年齢:53
プロフィール:両親と同じ敷地内に住んでいる53歳の自営業。

親しい人の香典を惜しむ母...真顔の母を見て、娘として感じたこと 41.jpg

11月の初めのことです。

入院していた82歳の父が退院することになりました。

私と兄の2人で迎えに行く予定でしたが、2日前に私の同級生の親御さんが亡くなったとの知らせを受けました。

その同級生とは小学校から高校まで一緒で、特に小中学生の頃は同じ部活でとても仲良しでした。

同級生は他県にお嫁に行ったので会える機会は少なくなりましたが、仲の良さは変わりません。

そんな彼女に不幸があったのですから、私としてはお別れに伺いたいと思うのは当然です。

そこで、父の退院には兄一人で行ってもらい、私はお通夜に伺おうと考えて母に話をしました。

母の返事は「NO」でした。

予想もしていなかった返事に驚いて理由を聞くと、私は「父と相性がいいから迎えに行かないとダメ」なのだそうです。

え? そんな理由...耳を疑いました。

確かに兄より私のほうが父と性格が似ていますし、日頃から接しているので扱いも上手かもしれません。

でも、お金を払って病院から帰って来るだけでしょ? 相性など関係ないですし、兄一人でも十分なはずです。

「お兄ちゃんだって子どもじゃないんだから。連れて帰ってくるくらいできるでしょ?」

「相性は関係ないし、お兄ちゃんはお父さんに逆らわないからかえって平和だよ」

説得してみたのですが、母は首を縦に振りません。

話はこじれにこじれて、何を思ったのか母は「〇〇ちゃん(同級生)がうちの(お葬式)ときに来られなかったらどうするの?」とまで言い出したのです。

一瞬、何のことかと考えてしまいましたが、要は「私がお葬式に行って香典を払ったのに、うちに不幸があったときに他県にいる〇〇ちゃんがお葬式に来られなかったら元が取れないじゃない」という意味です。

唖然として母の顔を二度見しました。

子どもの頃から「義理は欠いちゃいけない」と教えられて育ったのに、この期に及んで「義理を欠け」と言われたことがショックでした。

真顔の母を見て冗談で言っているわけではないことを察し、驚くやら情けないやら...。

しかし、押し問答していてもきりがないので、結局、仕事の都合をやりくりして告別式に参列することにして、父は別の日に迎えに行きました。

父を迎えに出かける私を見送る上機嫌な母。

笑顔で「行ってくる」と言いましたが、社会性というか価値観が思いきりズレてしまっていることに憂鬱な気分でした。

この先も同じようなことが起こるかもしれない...先が思いやられてモヤモヤしています。

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