<この体験記を書いた人>
ペンネーム:abby
性別:女性
年齢:56
プロフィール:猫ラブ・ベジタリアン・夫は外国人。
私の夫(59歳)はイギリス人です。
23年前、結婚して2年目の正月休み、私の実家に初めて2人で帰省しました。
両親は夫と会うのは結婚式以来で、その日が2回目。
田舎の両親は外国人の夫が来るというので、緊張しながら待っていたようです。
特に母親は緊張し過ぎて不思議なことに、夫の日本語が英語に聞こえるようでした。
母は、夫が母に話しかけるたびに「何て言ってるの?」と私に通訳を求めました。
「お母さん、いまの日本語だよ」
「えっ! そうだった?」
という感じです。
母は夕食の献立は何にしようかと、私に「○○さん(夫のこと)は何が好き? 今日の夕飯、何がいい?」と落ち着きません。
私は「彼は日本食が大好きだから、いつもの料理でいいよ」と伝え、結局「よせ鍋」になりました。
皆が夕食の席につき、母親が鍋の蓋を開けると「わぁ~」と夫は喜び、夕食が始まりました。
父は夫にビールをすすめて2人で和やかに飲んでいました。
母も夫に「たくさんあるから、遠慮せずにいっぱい召し上がれ」と言いながら鍋に具材を足していました。
夫も気を利かせて母に鍋の具材の「春菊」を指さして「この野菜は何ですか?」と日本語で尋ねると、母は「菊菜(キクナ)」と答えました(関西では春菊のことを菊菜と呼びます)。
「えっ?」と夫が言うと、自分の声が聞こえなかったと思った母は、今度は少し大きな声でもう一度「菊菜!」と答えると、夫は「あっ、すみません...」と静かになってしまいました。
夫の様子が少しおかしいので、「どうしたの?」と聞くと...。
「お義母さんに『聞くな』って言われた」
なるほど!
「それはね、聞くな! と言ったんじゃなくて『菊菜』っていう野菜の名前なんだよ」
「あ~~~~! そうなんだ。だってお義母さんが急に大きな声で『聞くな!』って言うからびっくりしたよ」
夫に言われるまでこの同音異語に気が付きませんでした。
母が「この野菜はね、キクナっていうのよ」と答えれば勘違いもなかったのでしょう。
日本語の日常会話では、主語を省いても前後の会話の流れで意味が理解できますが、当時の夫にはちょっとハードルが高かったようでした。
でも、夫の勘違いで家族は大笑いになり、お陰で緊張感もとれて楽しい初夕食会になりました。
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