<この体験記を書いた人>
ペンネーム:くもりのち晴れ
性別:女性
年齢:66
プロフィール:78歳の夫と二人暮らしの会社員です。
2022年夏も終わりかけ、オミクロン株の患者発表数にも慣れてしまい、感染者数を聞いても驚かなくなった頃の出来事です。
新型コロナの流行前から、毎週土曜日は夫を伴った買物デーになっています。
その日も、買物籠を乗せたカートを押す夫と陳列棚の間を歩いていました。
ごちゃごちゃと通路にまで商品が置いてある店舗は嫌いなので、ゆったりと歩ける店を選びます。
私が生鮮食料品を選ぶ間、夫は大人しくしているのですが、おやつの棚のあたりに来ると途端にそわそわします。
まず、羊羹から始まってアイスクリームまで次々と籠の中に放り込んでいきます。
買い物カートを杖代わりに押して歩きつつ、ここぞとばかりに好みの嗜好品で満タンにしていきます。
「ねえ! 甘いものばかりじゃない!」
「うるさいなあ!」
文句を言うと反論してきます。
夫は若い時から甘党で、家族が引いてしまうほどの量を一気に食べていました。
まだ子どもが小さかったころ、会社の帰りにタイ焼きやケーキをよく買ってきてくれました。
「時間をおいて、必ず二度お見えになって、同じものを同じ量だけ買って行かれますよ」
ある日、店員さんがそんなことを教えてくれました。
それを聞いて、もしかしてほかに家族がいるのでは?と疑った私。
その話を夫の同僚に話すと、お腹を抱えて笑い出しました。
「ああ、それ、〇〇さん(夫)、お土産に買ったものを自分で食べてしまって、もう一度買いに行ってるの見ましたよ」
いくらなんでも、10個も一度に食べることはできないだろうと半信半疑で夫に確認すると、いたずらが露見してしまったときの少年のように顔を赤らめて、実は無類の甘党だと白状したのです。
その一件以来、夫は家族の前でも平気で甘いものを大量に消化するようになり、私たち家族は、夫の食べる姿を見ているだけで気持ち悪くなり、いつしか甘い物を敬遠するようになってしまいました。
若いときは健康診断も常にパスして健康そのものでしたが、高齢になった夫は若い頃の無茶が祟ったのか病院に通っています。
糖尿の薬も処方してもらっているので、私としては心配です。
糖尿病で足を切断した知人の話を聞いているので、節制するように言ってもこの有様。
「じゃあ、病院なんか行かなければいいじゃない!」と強めに言うと、渋々、買物籠の中の甘いおやつを減らします。
もし、私が先に逝くようなことがあれば、夫は甘い物が食べ放題の毎日を過ごし、すぐに体を壊すのではと憂えています。
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