<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ちーさん
性別:女性
年齢:64
プロフィール:一つ年下の夫と二人暮らし。会社員として仕事をしています。
田舎の観光地で約30年宿泊業に携わっています。
10年ほど前、とある障害者施設の方から、軽度の知的障害者の方たち3名を旅行の体験で宿泊させてほしい、と連絡がありました。
詳細を伺い、宿泊してもらうことになりましたが、正直なところ不安でした。
宿泊施設はキッチン設備付きの貸別荘です。
掃除機など掃除道具も置いてあり、食材があれば生活ができるように設備が整っています。
また、入室するときはオートロックなので、暗証番号を入力して出入りをすることになります。
簡易宿泊所には管理人が常勤していないので、暗証番号を忘れてしまった場合は電話対応になっていますし、分からないことがあってもすぐに対応ができない場合もあります。
不安要素がいくつかあったので、彼らの宿泊中は直ぐに電話対応ができるように準備しました。
3連泊で予約をしてもらい、宿泊日の当日は私が受け付けを担当しました。
オートロックの鍵のナンバーのことや設備のことを説明すると、真剣に聞いてくれているのが表情から分かりました。
普段、若い男性が連泊すると「どうしてここまで汚すの?」と思ってしまうほど部屋の中がゴチャゴチャの場合があります。
部屋全体がゴミ箱のようになっていて、ゴミが床に投げ捨ててあったり、食べた物がテーブルに残っていたりする場合も。
内心、よくこんな汚い所で過ごせたな...とあきれるときが多いのです。
それもあって、このときもそのような状態を覚悟していました。
ところが、チェックアウト後に部屋に入ってみてびっくり!
部屋を使用しないでチェックアウトした? と思えるほどゴミ一つ落ちていません。
掃除機を使って掃除もしてありましたし、キッチンの生ゴミもまとめてありました。
特に印象に残ったのは、使用したバスタオル、フェイスタオルをキレイにたたんであったことです。
部屋に置いてあるメモ用紙には「たのしくすごすことができました。ありがとうございました。」と感謝の言葉が書かれていました。
感動すると同時に、彼らのことを勝手に軽んじて、どこか上から目線で不安を感じていたことが恥ずかしくなりました。
30年近く宿泊業に携わっていますが、彼らほどキレイに部屋を使ってくれた方はいません。
きっと、彼らはお客様としてのマナーを守ることを心がけながら部屋を使い、きちんと掃除をしてチェックアウトしていったのだな...と想像すると胸が熱くなりました。
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