<この体験記を書いた人>
ペンネーム:gaspal
性別:女性
年齢:42
プロフィール:夫(53歳)、小学5年生息子の3人暮らし。共働き家庭です。
毎年、我が家はお盆に飛行機で義実家に帰省していました。
しかし、コロナ禍となってからは帰省できず、今年(2022年)は久々の帰省になりました。
どうしても帰省したかったのは、義母(82歳)が2年前に認知症を発症してしまい「今はかなり認知症が進行している」と親族から聞いていたので、義実家の親族とこの先の義母のことを話し合わなければならなかったからです。
義実家は最寄りの空港から電車で2時間半以上かかります。
しかも、最寄駅から義実家まで徒歩30分以上かかるほど田舎です。
最寄駅から義実家までは、お店どころか信号も横断歩道もありませんし、タクシー会社も駅前に1軒だけです。
そんな義実家で一人で暮らす認知症の義母のところに、諸事情で「次男の嫁」である私だけがみんなより先に義実家に行き、一泊する事態になってしまいました。
なんとか最寄駅まで着いたものの、駅前のタクシー会社(家族経営)の身内に不幸があり、臨時休業になっているではありませんか。
お土産や帰省荷物などを両手に持った私は呆然としてしまいました。
「こんなに荷物を持って30度の気温の中、30分以上も歩けない。どうしよう」
途方に暮れていたところ、偶然通りかかった、全く初対面の女性Aさん(50代くらい)に話しかけられました。
Aさんは私の荷物を見て「どこの人? お盆の帰省で帰ってきたのかい?」「〇〇さんとこ(タクシー会社)、ご不幸でやってないのよ。どこに行くの?」と矢継ぎ早に質問してきました。
私は戸惑いながらも義実家の住所と義母の名前を言いました。
「あー〇〇さん(義母)とこ! 認知症、ひどいよね? みんな心配してるのよ。え? あなた、次男のお嫁さんなの? 一人で来たの?」
早口のAさんに戸惑っていると、思わぬ申し出があったのです。
「私は今、用事もないし大丈夫。あなたを送っていくわよ。あなた、遠くから来て疲れたでしょ? うちでお茶でも飲んでから行く?」
都会では絶対ないであろう展開に目が点の私。
(知らない方だけど義母と知人らしい。初対面の方の車に乗る? でも歩いて義実家には行けない...)
混乱気味だった私の頭の中はグルグル...でも、Aさんはおかまいなしでした。
「いいから。いいから! 気にしなくていいのよ」
半ば強引に私を車に押し込んでAさんは発進! 義実家に送り届けてくれました。
Aさんはおしゃべりが好きなようで、 道中に義母の様子を詳しく話してくれました。
「認知症がひどいし、これから大変だろうけれど、お嫁さんが気にしてくれてて良かったわ。ありがとうね」
Aさんは、私が渡そうとしたタクシー代相当のお金を押し返すと、走り去っていきました。
田舎は本当に情報が筒抜けで、嫌だなと思うことも今まで多かったのが本音です。
でも、Aさんから受けた親切で「村全体でお互いを見守っているんだな」と、田舎ならではの長所を身をもって経験しました。
人気記事:《漫画》女性を見下す80歳の義父。町内会の集まりで私の切迫早産を笑い話にした結果<前編>
人気記事:《漫画》「ゆるふわ系義母」が超ストレス!! 家族の生活リズムを乱すマイペースぶりに唖然<前編>
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。