<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みわちゃん
性別:女性
年齢:61
プロフィール:生徒たちの年齢もさまざま。思いっきり頭を柔らかくしてもらっています。
私は小中高の個別指導の学習塾、音楽教室の講師、また、音楽大学で講師志望の生徒を指導する授業をしています。
さまざまな分野の教育に携わっているので、生徒さんは2歳児から70代のおじ様、おば様まで幅広いです。
コロナ禍の中では、Zoomを使ったオンライン授業もありました。
私が関わる範囲では、どの教育機関も授業のやり方、内容はすべて講師に丸投げでした。
オンライン授業用にパワーポイントなどで教材を作成するのは本当に大変!
また、オンライン授業は相互にやりとりをしますから、画面は常に顔出し状態です。
音楽教育の授業では、生徒にパフォーマンスが大切だということを伝えます。
幼児対象の教案ではぬいぐるみが登場し、手袋のぬいぐるみで子どもたちに対して、いかに表情豊かに見せることができるかを教えます。
ほかにも、音を聴いて書き取ったり、共有画面で楽譜を見ながら歌ったり、リズムを叩いたり、ピアノを弾いたり、イラストを動かしてみたり...などの指導もあります。
そのような授業ですので、話し方の指導や生徒さん同士の発言も多々あり、オンライン授業といえども気を抜けません。
ある大学の授業での話です。
最初は生徒たちも緊張感を持ちつつ、自宅で授業を受講していたのですが、そのうち友人の家やファミレスなどで授業を受ける生徒も出てきました。
2021年の12月にはこんなことが...。
「先生、すみません。家の鍵を忘れてしまったので、親が帰宅するまで家に入れません。玄関で授業を受けてもいいですか」
1人の生徒(22歳)からそんな連絡がありました。
授業の開始時刻は16時、90分間の授業です。
授業に必要なものは筆記用具と五線紙です。
クマ、ゾウ、ウサギ、牛、リスなど、手持ちのぬいぐるみも用意します。
冬至が近い季節でしたので、日が沈むまでわずか。
そんな中、生徒さんは必要なものを出し、寒い中、外で授業を受けていました。
玄関で授業を受けている生徒さんの画面は次第に薄暗くなっていきます。
「〇〇さ~ん、大丈夫?」
「先生~、こちらはよく見えていま~す」
始めのうちはぬいぐるみを持ちながら、お互いにこやかに対応をしていましたが、その都度その都度、あちらこちらから笑い声が聞こえ、まともな授業になりません。
そしてついに日没を迎え、画面に映る生徒さんの顔はまるで亡霊のよう。
「先生、画面が見えないと、かえって音に集中できます」
うん、そうだね、でも手元に写るはずの五線紙は真っ暗で、こちらからは確認できません。
そして、時折携帯からの光が放たれる中...ついに生徒さんの顔は画面から消えていきました。
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