<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:私は妻(58歳)とは知人の紹介で出会いましたが、実はちゃんとお付き合いした女性は妻が初めてでした。
私が独身だった頃の話ですので、30年ほど前のことになります。
私は当時、役場の総務課に勤めていました。
恥ずかしながら女性との付き合いはからきし駄目で、同僚の独身男性陣とよくつるんで飲みに行ったり、遊びに行ったりしていました。
A(当時20代後半)はそんな時の同僚の一人です。
私とは正反対のタイプで、なかなかの遊び人でした。
飲み会に行けば、彼の武勇伝(?)をよく聞かされましたし、休日にはいつも違う女性を連れているところを目撃されるようなタイプでした。
「Aとなんで付き合ってるの? トラブルとか巻きこまれるんじゃないの?」
心配してくる同僚もいるほどでしたが、個人的には嫌いではなかったですし、集まりにはいつも声をかけてくれるので、断るのも申し訳なく付き合っていました。
その集まりというのが、役場内の女性職員や一般企業のOLなどと頻繁に行う飲み会、いまで言うところの合コンというやつです。
Aは普段の付き合いでも顔が広く、多様な人脈を持っていました。
そのせいか、彼が企画する合コンもその都度顔ぶれが違うのですが、いつも私にだけは必ず声をかけてくれるのです。
よく声をかけてくれると思っていましたが、私だけが常に対象になっていることには気づいていませんでした。
その事に気づいたのは、奇しくもAの思惑が明らかになったからです。
ある日、食堂で昼食をとっていたときのことです。
お互い気づいていなかったのですが、柱の陰になった席でAが他の同僚と食事をしており、彼らの会話が私の耳にも届いてきました。
「なあ、A、もう少し飲み会のときに声かけてくれよ」
「そうだよ、ウジのやつにはいつも声をかけてるじゃないか」
私のことが話題になっているのに気づき、いよいよ耳をそばだてました。
「女性との飲み会では男女のバランスってやつが大事だからな。お前らは目立ちすぎるから、そうそう呼ぶ訳にはいかないよ」
「ウジならいいのか?」
同僚のその問いかけに、Aはせせら笑うような口調で答えました。
「ウジ? ああ、あいつは女慣れしてないからさ、緊張しちゃって飲み食いしない割には金払いはいいから助かるんだよね」
「なんだ、そういうことか」
同席している同僚も納得したように反応します。
Aはさらに続けて...。
「ああいう冴えないのを連れてったほうがこっちの受けも良くなるしな」
と言い放ち、同席した同僚たちはどっと沸いていました。
どうしようもなく腹が立ち、昼食もそこそこに席を立った私。
その数日後、Aが声をかけてきましたが、聞こえないふりをしてやり過ごしました。
それ以降もAが声をかけてきたときは、忙しいんで遠慮する、とだけ返すようにしました。
Aとは少しずつ交流がなくなり、Aが異動したこともあって、その後はすっかり疎遠になりました。
聞いた話では、Aは女性関係がこじれて裁判沙汰にまでなり、居づらくなったのか役場は中途退職したとのこと。
正直、自業自得とスッキリした気分でした。
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