<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みけ
性別:女性
年齢:53
プロフィール:両親と同じ敷地内に住んでいる53歳の自営業。
2022年の1月のことです。
事務用品を買いに地元のホームセンターに行きました。
そこのホームセンターは家庭用品から工事工具まで品揃えが良く、行くといつも店内を歩き回ります。
その日も必要な品をカゴに入れると、なんとなく家電品の売り場をぶらついていました。
季節がら暖房機器がたくさん並んでいて、ご高齢の女性がストーブを眺めていました。
何度か売り場を行きつ戻りつしながら、展示品を見て買う商品を決めた様子ですが、店員さんを呼ばずに自分で棚の下の在庫を引っ張りだそうと思ったようです。
箱の大きさもそうですが、ちょっと重くて女性が一人で持つのは難しいように思います。
頭の片隅で「手伝った方がいいかも」と考えていたのですが、なぜか行動が伴いませんでした。
すると、どこからともなく若い男性がやって来て「こっちにありますよ。重いから僕が出します」と言って、箱に手を掛けました。
女性は少し照れた顔をしながら「ありがとうございます。大丈夫です」と遠慮するのですが、男性はニコニコして箱を引き出します。
そして、展示品と型番を確認しながら一度床に置いて「これで間違いありませんか? レジまで運びましょうね」とニッコリ。
なんと爽やかな! 思わずつられて私までニコッとしてしまいました。
しかし、女性は恐縮しているのか、しきりに「大丈夫です」と繰り返します。
レジまでちょっと距離があるし甘えちゃえばいいのにと思っていると、男性が「僕も買い物があってレジまで行くところなんですよ。だからついでなんです。気にしないでください」と言いました。
ニクいっ! ドラマで聞くようなセリフ! とっさに出てくるものではないですよね。
きっと、この男性は普段から人と接する仕事をしているのだろうと感じました。
そして、男性の言葉を聞いて女性の頑なな態度は少し和らぎましたが、それでも年齢のせいか性格なのか「お願いします」とは言いません。
もどかしいような気持ちで見入っていると、男性は箱を持ち上げて女性にレジの方向を指しました。
そしてようやく(?)恐縮する女性と一緒に、女性の歩調に合わせてレジにストーブを運んでいきました。
その自然で爽やかな振舞いに感服です。
ただ突っ立って眺めていた私は、残された爽やかな空気にしばらく浸ったあと、すぐに動けなかった自分を恥ずかしいと思いながらも、温かい気持ちでレジに向かいました。
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