これは今から約10年程前、脱サラして居酒屋を始めた大将とその妻である女将に起こった出来事です。
現在の私は離婚して一人暮らし。近くに住む孫たちと楽しい日々を過ごしております。
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私達家族はとても仲が良くて、休日は皆で出掛けることがよくありました。
ですが旦那が不倫してからその家族像は脆くも崩れてしまいました。
自分の実家が嫌で高校を出てから一人暮らしを始め、その後20歳そこそこで結婚した私と違って、店を手伝ってくれていた長女は結婚適齢期を過ぎても結婚する様子はありませんでした。
次女は近県の会社に就職し一人暮らしを始めて、長男は大学を卒業してからも自宅から通える会社に就職しました。
自分の母親を嫌っていた私と違って、子ども達が大人になっても結婚したり家を出て行ったりしないのは、ひとえに家族仲が良いからだと私は自負していました。
ですから子ども達の結婚に焦ってはいませんでした。
本当に好きな人が出来たらさっさと結婚するでしょ。
そんな気持ちでのんびりしていました。
しかしながら、父親好きだった長女は、彼が不倫騒動を起こした数カ月後にはあっさりと結婚。長男は地元勤めを辞めて、東京で仕事を探して家を出て行きました。
仲の悪い両親が2人きりになるのを心配したのか、入れ替わりに近県で就職していた次女は一人暮らしをやめて家に帰って来て店を手伝ってくれました。
その数年後、子ども達の金銭的な手助けもあって正式に離婚をして私は一人暮らしを始めました。
私が落ち着いたのを見計らって次女も弟を追って東京に行きました。
そして誰もいなくなった家を旦那は売りました。
慰謝料が出せないなら家を売れ!...と旦那に言ったのは私ですけど。(笑)
家を売ったお金は殆ど私が貰うつもりでいましたが、旦那はきっちり半分の金額を渡してきました。
これでは財産分与であって慰謝料ではありません。
旦那は半分にしたお金の中から税金等払っているので、それに相当する分が慰謝料だと言い出しました。
どれだけ都合の良い解釈なのやら。
これで手を打った私もまだまだ甘かったなあと反省しています。
さて話は変わり、離婚より少し時をさかのぼり、長女の結婚式の時のことです。
その時私達は親戚に仲の悪さを微塵も感じさせること無く、仮面夫婦を見事に演じていました。
会場のテーブルの上には来場者一人一人に新郎新婦からのメッセージカードが置いてあり、司会者さんの合図と共にそれを読むというイベントがありました。
メッセージにはそれぞれの親族や友人に対して新郎新婦から手書きの感謝の言葉が綴ってありました。
会場の所々から笑い声や感嘆の声が聞こえました。
はっ!そう言えば長女ちゃん、旦那にはなんて書いたのだろう。
ふと気になって隣を見ると一秒もたたずに旦那はさっとメッセージを閉じてバックに閉まっていました。
さては何も書いて無かったのだな。
ちょっと微妙な顔をしていた旦那の表情を見てそう直感しました。
ニヤついた顔をして私は手元のメッセージに目を移しました。
そこには長女から私に対する今までの感謝と労いの言葉が綴ってあり、思わず目が潤んだのでありました。
旦那には白紙のメッセージ、私には感動のメッセージ。
普段不義理やってるとそういう所で違いが出るようねぇ。
ちょっとザマアと思った私でした。
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