アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
皆さん「ママ友」はいらっしゃいますか? 私の長きにわたる人生の中の、色んなママたちのお話をしようと思います。
※登場人物はすべて仮名です
【前回】「借りパクされるとこやったわ~」と大声で吹聴するボスママ。たった2日借りてただけなのに?/かづ
【最初から読む】アッシー・メッシー・貢君だった彼が突然父に結婚の挨拶! 夫との馴れ初め/かづ
引っ越しの荷物がまだ部屋の中に段ボールのままで積まれているが、日々の生活はしなければならず、冷蔵庫の中も空っぽなので買い物に出掛けた。
子どもを連れてスーパーで買い物をしていると、ご近所のママさんに出会った。
彼女は、引っ越しのトラックから荷物を搬入していると声をかけて来てくれて、「私、山下。お子さん小さいんやね。なんでも聞いてね。」と言ってくれた人だった。
本来ならありがたい事だったが、以前住んでたところで「何でも聞いてね。」と言ってくれたのがボスママだったので、私は若干身構えてしまった。
当時うちの子は3歳で、山下さんのお子さんは6歳と7カ月の女の子2人。
「お子さんお2人で大変ですねぇ」
そう言う私に、山下さんは7か月の子を抱きながら「初めての子育て大変やと思うけど、子どもなんてほっといても大体なんとかなるから」と笑った。
スーパーでの買い物中、うちの子はショッピングカートの子ども用椅子に座らせていた。
マシンガンのようにしゃべる山下さんが抱く子どもが愚図って暴れだしたので、「カートに座らせないんですか?重いでしょう?」と提案してみた。
すると山下さんは持っていた買い物かごを下に置き、子どもをかごの中に座らせた。
「あぁ、重かった」
そう言ったと思ったら、「ちょっとこの子見といてね!」と言って山下さんは店の奥に走って行った。
ええええ!?
店の買い物かごの中に赤ちゃんを入れるなんて衝撃すぎた。
しかし、驚いて呆然としている間もなく赤ちゃんがごそごそと動き出し買い物かごが揺れ、今にも倒れそうなので赤ちゃんを抱き上げた。
知らないおばちゃんにいきなり抱かれたせいか、火が点いたように泣き出す赤ちゃん。
泣きたいのはおばちゃんも一緒だ。
子どもの泣き声が聞こえないほど広い売り場でもないので絶対に聞こえているはずなのに、なぜか山下さんは戻ってこない。
赤ちゃんが入れられていた買い物かごをカートに乗せ、泣いて暴れて反り返る赤ちゃんを抱きながら我が子が乗ったカートを押して店内の山下さんを探す。
「山下さーん! 山下さーん!!」
返事しろや! おい!(心の声)
「あー! ごめん!ご めーん! 抱いてくれたん! 入れといてくれても良かったのに~」
山下さんはヘラヘラ笑いながら米の袋を抱えて歩いてきた。
入れといてくれたらって!
「かごから落ちそうやったんで...」
「あぁ、大丈夫! 大丈夫! この前もデコちん打ってコブ出来たから(笑)」
いや、笑いごとやありませんけど?
「床を這い回るのも衛生的にアレなんで...」
そう私が言い終わるか終わらないか、山下さんは驚いた顔で食い気味に「えっ? かづさんって潔癖!?」と聞く。
「いや潔癖ちゃいますけど!」
誰がどんな靴で歩いたかわからんようなスーパーの床を、我が子にハイハイさせたくないのは潔癖でもなんでもなく普通ではあるまいか?
山下さんはニコニコ笑顔で「これからも仲良くしてな」と言って先にスーパーを出た。
彼女の中で私はママ友になってしまっているのだろう。
この山下さんが、ものすごくフレンドリーだったのには理由があった。
私の嫁時代の連載の中にも書いてあるが、引っ越したマンションは義実家の目と鼻の先の距離で、戸口から戸口まで徒歩2分の場所だった。
姑があらかじめご近所さんたちに「今度息子が越してきます」と言いふらしていたので、自己紹介する事なくみなさんご存じだったのだ。
第一印象の先入観から相手の事を決めつけてはいけないが、義母の事もあるのであまりご近所さんに気を許してはいけないと思っていた。
どこで誰が義母と繋がっているかわからず、気を許して喋った事が義母の耳に入る可能性があるので、気を付けなければならないのだ。
山下さんは出会う度に気軽に喋りかけてくれた。
もう既にとっても仲の良いお友達のように喋ってきてくれて、ありがたいと思うべきなのになぜか違和感が漂う。
山下さんは気さくに話しかけてくるのだが、やはり根掘り葉掘りいろいろな事を聞き出そうとする。
そんなに他人の家庭の中身が気になるのか? 私は個人的に相手の家庭事情が気にならず、たまたま会話の中で耳にする内容から「あ、この人は義両親と同居なんだ」とか、「ご主人は夜勤のある仕事なんだ」と分かるだけであって、自分からわざわざ聞き出そうとは思わない。
悩み相談を持ち掛けられたのであれば、その方の背景を知っておく必要があるのでいろいろ聞いたりはするが、ただただ興味本位で聞くなんて、「それ聞いてどうするん?」としか思わない。
案の定、山下さんと話すようになってまだ2~3カ月ほどしか経っていないのに、「相談があるんやけど...」と電話があった。
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