<この体験記を書いた人>
ペンネーム:くもりのち晴れ
性別:女性
年齢:65
プロフィール:78歳の夫と2人暮らしの会社員です。
2022年、コロナウイルスも株を変えながらじわじわとすり寄ってきます。
65歳の私は、あの手この手で防衛しながらも、体調がすぐれないときはもしやと思ってしまうことが多々あります。
そんな中でもお構いなしに「お茶飲みにいらっしゃいよ」と誘ってくる60歳の隣人Aさんがいます。
あれこれ理由をつけて断るのですが、断り切れないときもあります。
平日は終日働きに出ていて、貴重な休みの日はたまった用事やかわいがっている花や野菜の世話をして過ごしています。
ところが、庭に出ている私をどこからか見つけて、Aさんは必ず誘ってくるのです。
いつもいつも断ってばかりだと近所付き合いにも支障が出てくるので、たまにですが渋々応じることになります。
お茶菓子を持参してAさんの家を訪れると、そこには大抵すでにマスクをつけた他のご近所さんが2、3人集まっています。
そしてお茶会では、決まってうわさ話が始まって、Aさんは根掘り葉掘りと他の家庭の事情を聞き出そうとします。
「Hさんのご主人、先日〇〇で見かけたんだけど、若い女性と一緒だったわよ」
Hさんのご主人は営業職なので、新人と同行することもあると聞いたことがあり、それがたまたま女性だった可能性もあります。
Aさんはお勤めをしたことがないので、職場の事情など無関心のようで、うわさの種を探すのに必死です。
Aさんの逆鱗に触れるのも面倒なので、居合わせた隣人たちは適当にうなずいていて、みなうんざりしているのがありありと伝わってきます。
ひとしきりうわさ話をまくし立てた後、Aさんは急に話題を変えます。
「ところで、Bさん最近何かあったの? 息子さん見かけないけど」
この日は参加していたBさんに白羽の矢が立ちました。
「いえ、特に。仕事が忙しくて泊りがけになることもあるのよね」
言葉を濁して答えるBさん。
煮え切らない様子の50代のBさんに、Aさんはたたみかけます。
「そういえば、いつぞや彼女さんらしき女性がいらしてたわね」
「ええ、まあ」
「お付き合いを反対なさっているの? お相手の家柄がよくないの? 素行が悪いの? とても派手な方だったようですね」
Bさんは嫌がっているのに、Aさんはグイグイ踏み込んでいました。
これ以上はよその家の事情で、集まっている私たちにすればどうでもいいことです。
ところが、Aさんの質問攻めにうんざりしたのか、Bさんが突然暴露しました。
「家にも帰らず勝手に何日も居座るような女の子は、私たちとしては認めるわけにはいかないのよ」
それ以上は話しませんでしたが、息子さんと険悪になっている様子が見て取れました。
Aさんのほうをちらりと見ると、案の定満足げな顔。
人それぞれ言いたくないこともありますが、Aさんは話術に長けているのか、聞き出すのが上手いのか、ほとんどの人がいつの間にかしゃべらされて後で嫌な気分になってしまいます。
その後も順番に居合わせた人たちを質問攻めにしていきます。
多分ここで収穫した会話の内容は、別の集まりでお茶のつまみにされることでしょう。
「先日は忙しいところ誘ってごめんね、ところでこれいただいたのよ、召し上がれ!」
「これ作ってみたの、おすそ分け!」
Aさんが苦手な私でも、上手いな〜、と思うのは、こう言って食べ物や手作りの壁掛け、粘土細工のアンティークドールなど頻繁にまんべんなく配ること。
暇を持て余しているだけの、話好きのおばちゃんだと思ってしまえば、上手に付き合えるのでしょう。
しかし、できる限りお誘いは断りたいと思ってしまいます。
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